L'art de croire             竹下節子ブログ

沖縄県知事選挙

Yahooニュースにはすぐ出ていなかったけれど、田中龍作さんのツィッターで玉城候補当確とあったのでこれを書き始めている。

ウェイン司教の祈り(多分)が通じたかな?

アメリカ人の絶対反戦論者ウェイン・バーント司教、

在沖縄アメリカ軍人の息子の玉城デニー氏、

そしてアメリカの軍事基地による汚染の実態をきっちりと調査したアメリカ人ジャーナリストのジョン・ミッチェルさん、


日本の対米従属とかトランプ大統領の暴政ぶりとか、近頃、アメリカにネガティヴなイメージを貼り付けてしまいそうな時期に、この3人が態度を表明してくれるのは力強い。

「アメリカ」の掲げる民主主義や自由に希望を持てるような時代が来てほしいからだ。

一昨日、Arte「人間動物園」のドキュメンタリーを見た。

西洋白人キリスト教国が19世紀から20世紀にかけて、植民地政策を正当化するためにいかに「人種」のヒエラルキーを構築したかという政策が、障碍者なども含める「異形の人」を見世物にする民衆娯楽として広がったかを振り返る。

それがなくなったのは、「映画」の登場で、映画の中で「人食い人種にさらわれる金髪の美女」などのストーリーを消費できるようになってからやっと「原始人」ショーはすたれた。

特にヨーロッパには黒人奴隷とその解放の歴史がなかったから、アフリカの黒人は即原始人でサルと人間の間の進化過程のミッシングリンクとまでされた。(その後、第一次大戦でアメリカの黒人兵が大挙してやってきたことが常識を変えた。)


それにしても、「原始人」「未開人」「土人」の基準は、肌の色ももちろんあるけれど、心象的には、「裸」が一番大きなインパクトだった。その頃のヨーロッパで、女性が人前で授乳したり胸をはだけて歩いたりというのはもちろん考えられない。で、動物園で、半裸の黒人が暮らす様子を演出した。

当然ながら、アフリカの黒人の肌が黒いのも、半裸で暮らしていたのも、その気候に適応していたからだ。

だから、パリやベルリンの「動物園」で冬場も半裸で見世物にされた黒人たちは、次々と肺炎になったりウィルス性の病気で倒れ、死んでいった。

アメリカでは普通のアメリカ人と同じ生活をしている黒人がいるからエキゾティックではないから、オーストラリアのアボリジニなどが見世物として「人気」を博したが同じように多くがかえらぬ人となった。

番組では、20世紀初めの頃の植民地地図が出て、そこには、日本に「併合」された朝鮮半島ももちろん入っている。

アイヌの人の生活場面も少し流れた。

ヨーロッパの万博で「ゲイシャ」風の着物の日本女性たちが楽器を弾いているシーンも出た。

でも、日本女性たちは全身を覆う着物を着ているので、エキゾティックではあっても、「原始人枠」、「土人カテゴリー」ではないし、アイヌの人々も、北海道で暮らす人々だから、当然半裸などではなく、見た目は「白人」に近い。

これを見ていて、昔、沖縄の人々がルーズな恰好で生活していることを観察したことが、差別の根拠にされたという話を思い出した。

南の国ほど、当然衣服は薄くなる。そんな当たり前のことが、「動物は裸で暮らす」「人間だけが文明化して服を着る」という規準を利用して、「未開人」を蔑視し支配する政治の道具にされたのだ。

これらの過去の刷り込みは根が深い、サッカーの黒人選手やフランスの黒人の女性大臣について「猿」という言葉でヘイト言辞が出てくるのは、植民地政策に続いた「原始人ショー」という民衆カルチャーの総括がなされていなかったからだ、と番組はいう。それらの記録はずっと封印されてきたのだ。

21世紀の日本だって大阪府警の機動隊員が沖縄の人に向かって「土人」と発言した。その時に、1903年の大阪で開かれた博覧会で、沖縄女性2人が「展示」された「人類館事件」があったことを知った。これはまったく、ヨーロッパやアメリカの人種差別博覧会の、それこそ「猿真似」だ。

人類の人種は生物学的な人種ではない。すべての人はアフリカから移動してきたことはもはや常識だ。

その垣根を目に見える形で打ち砕くのが、「混血」であり、番組でも、ニューカレドニアからヨーロッパへの見世物興行に駆り出された一団の一人が、「白人のフランス女性」と結婚して生まれた女性が登場した。父と母の写真があったが、幸せそうな美男美女だ。父は病死した。それでも、母は、結婚した時に、フランス国籍を保持するための申請をしなくてはならなかったという記録が残っている。

そんなこともあって、アメリカ人の血をひく玉城デニーさんの当選はほんとうにシンボリックで希望が持てる。

世の中、悪いことばかりではないなあ、と思えてきた。

これからが大変だけれど、とりあえず、

玉城さんを支持されたみなさん、おめでとう。


来年の秋にトリオの沖縄公演を実現させたい。

平和と美が共振できるような何かをしたい。

フランシスコ教皇が、ヴィム・ヴェンダースの映画の中で、「アーティストは美の使徒です」と言っていたのを思い出す。





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by mariastella | 2018-10-01 00:05 | 沖縄
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竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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