12/10、マクロンがようやくTVで13分間、反省の弁と最低賃金の100ユーロ上乗せなどを語り、今の状況を「経済的社会的緊急事態」と形容した。「黄色いベスト」という言葉は一言も発していない。
マクロンのことだから、どういう巧みな言辞を弄するかと思ったら、まあ、過不足ない感じだった。これだけでは全然ダメ、高速道路の値上がりもタバコ税の値上がりも1月から決まっているのだから、と息巻く「黄色いベスト」の反応もあれば、これで、「黄色いベスト」と純然たる「壊し屋」とを区別して対応できるという歓迎の声もある。
マクロンは、デモをするのは憲法で保障された権利だが、いかなる理由があるにしても、店を襲ったり、警官や公務員、国の公共財産(市役所や凱旋門の中身が荒らされたことなど)を傷つけることは許されない、と言っていた。
では、「フランス革命は?」とも思ってしまう。バスチーユ監獄が破壊されたし。
メールで、日本のフリージャーナリストが単身パリに乗り込んでレポートしている記事を読んだことを知らせて心配してくれる人がいた。このジャーナリストはパレスティナなどでもレポートしていて私も興味深く読んだことがあるし、沖縄知事選の結果も真っ先にそこで知った。
で、世界一物価の高いフランスに来て大赤字になりそうでカンパを募っているのだが、彼のレポート写真とは、パリの銀行やスタバのガラスが割られているもので、ネオリベ富裕層のシンボルである銀行とアメリカ資本のグローバル化のシンボルであるスタバが狙われた、という文脈だった。
正直いって、赤字覚悟でパリに来るメリットはないなあと思った。パレスティナやロヒンギャ難民キャンプとは違って、フランスではジャーナリズムが機能しているから、地方の動きを含めて、リアルタイムの情報もリピートもあふれている。
「スタバはアメリカ資本だから狙おう」なんて発送する「黄色いベスト」などいないだろう。
先週土曜に襲われたのは庶民的な街でのメガネ屋とスポーツ用品だったし、中心街で時計や宝石店が襲われるのは、前にも書いたけれど、残念ながら、ほぼプロの「壊し屋」集団の常で、今回は興奮した「黄色いベスト」のメンバーの一部が確かに加わったという感じだ。
(それに「破壊」は土曜日限定で、日曜のデパートは人があふれ、ジョニー・アリディ葬儀の一周年のミサも地方からも押し寄せるファンでマドレーヌ寺院と周辺は満杯だった。数年前のテロの厳戒態勢などに比べると比べ物にならないリラックスした光景だ)
「黄色いベスト」の怒りはまさに「新しい政治をやると言って直接選挙で選ばれたくせに上から目線で富裕層ばかり助けている」というマクロンと政府に向けたもので、警官や「共和国のモニュメント」を攻撃しろ、ぶっ壊せ、という意志を表明した「確信犯」は少なくない。
その意味では確かに「フランス革命」の精神を踏襲している、というか、その正当性があるという意味の「確信犯」だとも言えるだろう。で、日本のフリージャーナリストが自腹で「革命の現場」をレポートしに来たのだろうけれど、すでにもっとインパクトのある破壊シーンが出回っているのに、個別のつっこんだインタビューもできないで恣意的に切り取るのは無駄?で的を外している気がする。もっと別のところで貴重な情報を集め続けてほしい。
でも、ともかく、このような「暴力」と「破壊」のエスカレートがマクロンの譲歩を引き出したのは事実だ。
今の私は絶対非暴力主義だけれど、カトリックの歴史の中で興味深い例を引いた記事を読んだ。(続く)