サンタンヌの精神病理学アートの展示会で購入した5冊の本のうちのこれには絵がない。
サンタンヌのアートセラピーで絵の才能を見出されて、「病気」も治ってしまって、退院してから画家として活躍するイザベル・グイックのをセミナー講演が収録されているものだ。
このセミナーは主として精神病理学の領域における精神分析の関係とその進化を研究者たちが定期的に報告し合っているもので、この本は2016-2018年にかけて「女性性、女性、女性らしさ」の三つを見分ける目印となるものは何かをテーマに集めたものだ。
ということは、イザベル・グイックの体験談も、単に病とアートの関係だけでなく彼女が女性だということに関係があるのだろう。
彼女を除くほとんどが精神病理学の臨床研究者の講演だけれど、一つだけ特に私の目をひいたものはフランソワーズ・ポンティチェリの『アヴィラのテレサ、女と聖女』というものだ。なるほど、ジュリア・クリステーヴァが『テレサ、モナムール』を書いたのは彼女の精神分析家(精神分析医ではない)としてのアプローチを勧められたのがきっかけだったようだ。
私もテレサの本を書こうとしてアヴィラにも取材に行ったのだけれど、クリステーヴァの大部の本が出てしまったので気をそがれてそのままになっている。
この二講演の記録を読むのが楽しみだ。もとは内部供覧用の本なので、サンタンヌのこの展覧会に行って、スタッフと話し合った時に勧めてもらわなければ出会えなかった。
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