ビル・ゲイツの「人道資本主義」
ジャーナリストでエコロジー活動家のリオネル・アストリッュクLionelAstrucがビル・ゲイツ財団批判の本『偽りの寛大(気前良さ)』という本を出した。
財産の95%を人道支援に使うと言っているけれど、彼の財産がこの7年で2倍に増えていること、財団には二つの顔があって、一つは分配だけれど、これは4%くらいが使われているくらいで、もう一つは、財団の支持団体であるトラスト(企業合同)に投資して財団の財源を増やしているのだそうだ。そのトラストを形成しているのが、石油会社、軍需会社、コカ・コーラ、マクド、遺伝子組み換え食品など、エコロジーと真逆のコンセプトの大企業だ。もちろん財団づくりは税金逃れの一環でもあって、つまり、税金として国に治めて分配するでき金を軍産トラストに渡していることになる。
アストリュックは、もとはイギリスの『ガーディアン』紙の投資ジャーナリストマーク・カーティスが2016年に発表した『L’ONG Global Justice Now』というレポートを読んで調査を始めたのだそうだ。も
ちろんビル・ゲイツの「善意」を批判しているわけではないのだけれど、「人道資本主義」というシステムに警告を発しているのだ。
偽悪より、無関心より、偽善の方がよほどいいと思うけれど、途上国での病の撲滅などに真剣に取り組んでいるゲイツ夫妻が一方で、地球規模で環境を汚染し健康被害を創出する大企業と組んでいることには何か、根本的な矛盾がある。
しかも、大規模人道の名によって、他の国連機関などにこの「人道資本主義」システムが導入され浸透する可能性もある。
これは「エコロジー資本主義」も同じだなあと思う。
先日のヨーロッパ議会選挙でもそうだけれど、今や「エコロジー」を語ること自体は政党のデフォルトになっているのだけれど、「緑の資本主義」も当然あって、どのセクターがどのような権益を見込んでいるのかに大いに左右される。
難しいところだ。ほんとうに善意の人やほんとうに環境汚染を防ぎたいと思っている巷の人々のモティヴェーションが下がらなければいいのだけれど。