すぐに使えない分厚い本を買うのはやめようと思っていたのに、アマゾンの試し読みをしてあまりにも刺激的なのでつい買ってしまった。
2019年の宗教文学賞(宗教文学の書店組合が選ぶもの)を獲得したジャン=ギエム・クセリの『あなたの魂を世話しましょう ― 内的エコロジー小論』(Cerf)。
20世紀に花開いた精神分析学と文化人類学に基づく「構造主義的人間観」が下火になり、21世紀には生物学、共感主義、サイバネティックスに基づく「神経システムとしての人間観」が優勢になった。
ヒトは何を知ることができ、何をすることができ、何を期待できるのか、という問いには大きく分けて四つのアプローチがある。
それによって、ヒトが病人や子供や障碍者、動物、機械、とどう接するかが変わってくる。
1.アリストテレス的(人は考える動物、魂と肉体のミックス)
2.デカルト的(機械としての体と考える心の主体は別)
3.構造主義的(歴史や文化や生育環境に依拠する無意識に支配される)
4.ニューロン的(内面はある種の分子によって影響を受ける。知覚、感情、気分、意識。抗鬱、抗不安、催眠、抗精神役、気分安定剤、興奮物質、精神刺激薬に対応する分子の発見)
で、マインドフルネスなど黙想、瞑想の話になって、それらは欧米では禅やヨガなどの流行で広まったけれど、実はキリスト教初期の「砂漠の隠修士」と呼ばれている教父たちが詳しい理論を書き残しているのだという。(「聖アントニウスの誘惑」なんていう画題は日本でも有名だ。)
で、彼らの理論を精神分析学者で生物学者でもある著書が徹底的に分析してそれらが魂の病にとって最高の「療法」であることを紹介、解説している。
禅林語録みたいなおもしろさもあるけれど、禅の言葉よりももっと分かりやすい。
神学的なものではなく実践的、実存的、療法的なものだ。
すごくおもしろそう。