先日、うちのリビングで猫たちを構いながら友人と話している時、彼が私の読みかけの雑誌のタイトルの特集テーマに目をとめて、「こんなことをテーマにできるなんてすごいなあ」と言った。
それは「フランスの憎悪ーーエリート、金持ち、パリ、国家・・・に対するヘイト」というものだ。
私はもともと、一見気取っていて中華思想風のフランスの自虐趣味に興味があったし、たとえば、アメリカ人は金持ちを見て憧れるがフランス人は金持ちを見て嫉妬するという傾向も知っていた。アメリカン・ドリームの国と、フランス革命の国の差ももちろんあるけれど、他にもいろいろ「本音が見えにくい」部分が確かにある。
で、友人が「すごい」というのは、こういう記事を書くと、それに対して「フランスを貶める」と炎上させる勢力があるからだという。日本でいうネトウヨみたいな感じで、フランス人の持つ嫉妬心やヘイトの感情を論ずること自体が「自虐」でよろしくない、というわけだ。日本の嫌韓や嫌中のヘイト言説を批判すると自虐史観だ、戦後の洗脳だ、と言いたてられるのと似ている。
この特集テーマは、黄色いベスト運動で、反エリート、反マクロン、反富裕層、反移民の声が上がったから、それをあらためて分析するというものだろう。
ゴビノ-とトックヴィルの話や、マリー=アントワネットへの愛憎の話など興味深い記事が満載だ。
で、表紙右上に引用されているチェーホフの言葉。
「憎悪よりも強固に人を結びつけるものは何もない : 愛も、友情も、感嘆の念も」
日本やフランスで垂れ流されるヘイトスピーチはいろいろな要素がねじれて絡まっているのだと思っていたけれど、こうも直球に、「普遍性」を打ち出されると、ポピュリズムの危険性をあらためて考えて怖くなる。