タイと日本に来るローマ法王先日、ローマ法王フランシスコの来日の日程がようやく正式に発表になった。 タイへの訪問とセットになっている。 北朝鮮からの招待を受けることは実現しなかったようだし、日本でも、沖縄の基地による環境破壊の視察は実現しなかった。 それでも、タイも日本も、カトリック信徒の率が0.5%以下の国だ。 タイは特に仏教徒95%、ムスリム4%、ヒンズー教とキリスト教が、合わせて1%だ。 それでも、大都市にカトリック教会はあって、英語やフランス語やドイツ語のミサもあるというから、駐在員の役に立っているのだろう。そしてやはりカトリックのミッション・スクールや病院がとてもリスペクトされているそうだ。 そもそもタイの仏教というものがシンクレティックな感じがする。 どの国でも、ある宗教がマジョリティになっているような時は、それは政治的な組織でもあるから、権力者の都合のいいように改変されている。 私がこの5月の初めにフランスに戻ってきた時、ヘアサロンに置いてあった「パリ・マッチ」誌を見てグラビア記事の一つに驚いた。それはタイ国王の戴冠式の写真で、王妃も含む全ての人がはるかに高い玉座に座っている国王の前で床にひれ伏している場面だった。そして、国王は「生き神」だと崇められているというキャプションがあった。すべてが金色に輝く仰々しさにも驚いた。 キリスト教ヨーロッパでは「神は存在しない」という無神論イデオロギーが「近代」を築いてきた。その世俗性が世界を席巻したかと思っていた21世紀に、まだ「神」だという王がいて、人々がそれを認めて本気でひれ伏しているのだろうか。 私はそんなアナクロニックな感じに衝撃を受けた。まるでアトラクションパークの一場面みたいだ。未だに「神の化身」がいて、それを普通に写真に撮っている・・・ と、さらにページをめくるとそれに続いて出てきたのが、なんと日本の新天皇が初の宮中祭祀をする写真だった。祭儀の正装である黄櫨染御袍をまとい手には笏という姿で宮中三殿を参拝した5/8のもので、タイ国王戴冠式は5/4だったから、同じ号に載ったのだろうけれど、タイ国王の「現人神」のアナクロニックさにあきれた後ですぐにこの平安朝風の姿だから思わず笑えた。 「代替わり」の日本で、皇室の伝統行事とは別にただバカンスを楽しんでいた人も多かったように、タイでも国王が神だとか関係なく、普通に生活している人がいくらでもいるわけなのだろう。 でもこの2つの写真を並べられると、結構複雑な気分だ。 もちろんフランスのこの有名な写真週刊誌はこれを前時代的だと揶揄しているわけではない。イギリス王室の行事を扱うのと変わらない感覚だ。でも考えてみれば、イギリス王室の各種の行事だって、ある意味でアナクロで、どうしてこんなものが今でも続いているのだと言えば言える。人の許容の力は意外に豊かだ。ある意味で情報過多でゲームのコンテンツも現実も何でもフラットに配信される今の方が人はなんでも受け入れるのかもしれないけれど、それはそれでリスクはある。 さて、仏教は正式には、タイの「国教」とはされていないらしいし、そもそもバラモン教の影響を受けて王制に都合のいい習合をしていったようだ。インド仏教はヒンズーの神々を仏の守護神のように振り分けていったけれど、タイではヴィシュヌ神がブッダになったり国王になったりと「化身」するとされたらしい。 ともかく「豪華さ」と「権威」が結びついているようで、それに慣れたタイの人々には、ミッションスクールの十字架のイエス像などがやはりショックを与えるという。フランシスコ教皇が復活祭前に囚人の足を洗うというようなエピソードも驚きと共によく知られているそうだ。 うーん、どうなんだろう。カトリック信者数ではタイと同じく超マイナーな日本だが、宗派仏教の林立の後、江戸幕府の御用仏教、明治維新の廃仏毀釈、国家神道の強制と消滅など、今や、新興宗教でもない限り、「特定宗教への帰属感」が世界一低そうな国だ。ローマ法王を迎えるハードルも高くない。ミッション・スクールのおかげで「エリート」のカトリック・シンパ率は一定数ありそうだし、タイ仏教よりもローマ・カトリックの方が身近でグローバルだという感じはあるだろう。 そして何よりも、教皇にとって最も思い入れのあるヒロシマ・ナガサキの訪問を通して、核兵器廃絶、人類と地球を救う真のエコロジーにつながる平和のことを多くの人が考える機会になれば、なにはともあれ、ありがたいことだ。
by mariastella
| 2019-09-27 00:05
| 宗教
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