ミュージアムの展示や解説は前にもまして便利に分かりやすくなっていた。展示の各ケースの前には解説者のビデオとヘッドフォンがある。(左下で光っているもの)


自由の女神は、もちろんメイスンだったオーギュスト・バルトルディBartholdi の「世界を照らす自由(ランス語では女性名詞)」の作品だ。
あるケースの中に、螺鈿細工の箱があった。とってもオリエンタルな雰囲気。

日本のいわゆる「南蛮美術」の工芸品の中には、キリスト教モティーフのこういうものがあるけれど、フリーメイスンのモティーフだから19世紀頃?
不思議なことに、この箱についての解説ケースは空だった。
だから後で、ミュージアムのスタッフに聞いてみた。
分からないという。目録の中にも全ては入っていないのだという。
そんな風に言われるとますます気になる。
(追記)この記事を書いたのは9月の終わりだった。そのちょうどひと月後、大阪の中之島香雪美術館の展示で、なんと、19世紀、江戸時代の螺鈿蒔絵箱(九州国立博物館蔵)の、フリーメイソン紋章に出会った。幕末のフリーメイスンからの注文らしい。)
その写真はこれ。

明らかに同系統だ。
このタブリエは気に入った。ハイ・グレードのマイスターのものなのに、「いつまでも見習い」とフランス語のモットーが書いてある。自分の中にカテドラルを建てる営為はこの世では終わらない。マイスター、親方、徒弟、弟子など複雑な位階があっても、「謙虚」を目指すのは、キリスト教精神の反映だともいえる。そうしないと、1848年に正式にフランスのモットーに採用されたこの「自由・平等・同胞愛」はいつ崩れ去るか分からない。三つの言葉が危ういバランスを何とか保っているこの作品がそれを物語る。(Haïm KERN作。この人が第一次大戦の犠牲者のために1998年に創った4m、1,6t のブロンズ像が2014年に何者かに盗まれたことはよく知られている。)
これは、フリーメイスンと言えばだれもが思い浮かべる怪しげなイニシエーションの図。そのそばに詳細な解説があった。意識をより高次なリアリティに開くためのシンボリックな死の通過儀礼で、ルネサンスのフィロゾフィア・ペレニスからの伝統が説明されている。20世紀には深層心理学からの研究もなされたと。
展示はみな教育的で、バランスがとれている。スコットランドやウィーンなどとは別の歴史が流れているのを感じる。