フリーメイスン・ミュージアムのあるグラントリアンの本部の向かいには、フリーメイスン専門書店がある。グッズなどもあるが、エゾテリズムと違って、メイスン限定なのですっきりしている。

しかも、21世紀にメイスナリーに加わる人のための具体的なガイドブックのシリーズがたくさん出ていた。シンボルの説明などはもちろん、メイスナリーの中の各グレードや役割に任命された時の手引、心得などもある。
当然ながら、ネットのサイトには掲載されていないものもある。
ロッジでの音楽の説明、メイスナリーはセラピーになるか、メイスナリーに入ることによる利得はあるか、会合でうまく発言する方法、聖書を使う意味、マイスターの使命、研究会での効率よい発表の仕方、など、べたで「実用的」なものがずらりと並ぶ。
このシリーズのカタログがネットでは全部は見られないので、撮影してもいいかと書店員のLさんに頼んでOKしてもらい、それから彼と話がはずんだ。彼は聞いてもいないのに、自分はメイスンではないこと、この書店のオーナーがメイスンであること、自分は本好きで書店員をずっとやってきて、普通の書店で働きたかったけれど、ネットの時代に書店は縮小するばかりで、50歳を過ぎたらポストを見つけるのが困難で、このフリーメイスン専門書店で働くことになった、と言う。
向かいのグラントリアン本部には立派な図書室もあるし、ロッジに来た人もわざわざこの書店で買い物をすることはなさそうだ。一般の陰謀論とかエゾテリズムとかへの好奇心だけ強い人も、今はネットでいろいろ情報収集できるし、秘教もの専門の店やサロンもあるし、本部の向かいの公式っぽい書店にはむしろ入りにくいのかもしれない。
私は特にフランスのメイスンとアングロサクソンのメイスンの違いについて解説した本はないかと聞いた。また『神と女のキリスト教史』を脱稿したばかりの頃だったので、フェミニズムとフリーメイスンの関係についての本も探してみた。これらについては選書メチエのフリーメイスンでも解説したけれど、最新の研究も欲しい。
ロッジには9/28のセミナーのポスターがあったのだけれど、それがとても興味深そうだったからだ。でもパリでなくて、南仏(エクス・アン・プロヴァンス)の大学の政治学部大教室だから行けない。「宗教の中の女性 -- 女性の宗教」というテーマで、メイスンがオープニング、ユダヤ教のラビの「ラビには髭が必要か?」、プロテスタントの女性牧師による「女性と女性牧師」、曹洞宗禅僧(フランス人)の「どのように女性の宗教体験が文化の条件を超えるか」、カトリック・フェミニストの「神は女を愛しているか?」、政治学者による「宗教の継承はジェンダーに関係するか?」、その他ロシア正教における女性、イスラムにおける女性などをテーマが目白押し。
でも、私が興味を持っているテーマを知ったLさんは、同じ日にパリでもメイスンの公開講演会があることを教えてくれて招待状のチラシをくれた。
女性専用ロッジ、グランド・ロッジ・フェミニン・ド・フランス・の主催するものだ。
今のグラントリアンはミックスで、昔のように2人のメイスンによる推薦もいらなくなった、とLさんは言う。ただし書類審査に3ヶ月かかると。
女性専用ロッジに行ったことがないので、好奇心を掻き立てられて登録した。
第二聖殿の「人間の進歩に寄与する普遍的ツールであるアート」と「世俗と宗教とメイスナリーにおける手のシンボリズム」の講演だ。これが一番秘教っぽくない。
(続く)