昨年10月初めの頃、ピアノの女生徒が突然プレゼントをくれた。
生徒からのプレゼントというと、クリスマスや学年末や発表会の時にチョコレートや花などをくれる、バカンスの記念品をお土産をくれる、猫グッズをくれる、たまに、自分で焼いたクッキーをくれるなどがあるけれど、こんなに一生懸命な気持ちが伝わる手作りははじめてだ。
自分で考えたマンガの犬風、猫風のキャラクターに水彩絵の具で色を付け、貼り合わせて袋を作ったものだ。その中に、スペイン旅行のお土産のカメのキーホルダーと、「Japan Expo」で買ったという猫の根付が入っていた。
フランスは日本に次いで世界第二のマンガ消費国で、「マンガ」風の絵を描くか物の数は多いけれど、14歳のこの生徒の絵も、完全に日本のマンガ風だ。
日本人の私が60年以上前からマンガで育ち、描きもしてきたということを知らないのは当然だけれど、彼女Sちゃんは、Bちゃんと並んで、レッスンの勘所に対する感性が私とぴったり同調している生徒だ。彼女に特にそれを言ったことはないけれど、彼女も私が彼女と同じ破調の人間だと感じているのだろうというのがこのプレゼントを見ていてすぐに伝わった。
音楽ってすごい、と思う。


この話には後日談がある。彼女の母親から、数日後にこんなメールをもらったのだ。
S… apprécie énormément votre compagnie, elle est heureuse à chaque fois qu’elle vient vous voir.
Je vous connais à travers ses Yeux, après chaque cours, c’est un voyage magique que Sarah m’offre en me racontant ce qu’elle a fait, les petites histoires sur son cours sont simples mais sincère.
Je vous remercie infiniment pour votre contribution à l’épanouissement de notre enfant.
(Sはあなたと共に過ごすことを大変に喜んでいます、毎回、あなたに会う度に幸せいっぱいです。彼女の目を見ると、あなたがどんな方かわかります。レッスンから帰る度に、彼女のしたこと、エピソードなどを教えてくれるのは簡単だけれど気持ちがこもっていて、魔法の旅みたいです。私たちの娘が花開いていくことに寄与してくださることを感謝してやみません。)
今まで、親からの評価を気にしたことはなかったけれど、教師冥利に尽きる。