グラントリアンのフリーメイスン・ミュージアムに行った2日後、書店でもらった招待状から登録してグランドロッジ・フェミナンの公開セミナーに行った。会場である本部はパリ11区のシャロンヌの近くに、1646年に建てられたドミニコ会の修道院があって、この世界初の女性フリーメイスンロッジが1970年から入っている。
シャロンヌの近くのヴォルテール大通には古物市がブースを並べていたのでいろいろ見た。
シャロンヌ通りを少し行くと、右手に袋小路があって、そこに修道院の建物があり、もう参加者が列を作っている。
招待状にも女性限定と書いていないので、男女のカップルも少しいた。でも、スタッフも含めて、宝塚っぽい雰囲気の人が多い。こういうと何だが、男性メイスナリーの雰囲気はむしろマッチョなかんじなのだけれど、フェミニンのロッジは、女性的ではなく、むしろ男っぽい。宝塚同様、明らかに女性のカップルという感じの人たちもいる。同系列男性メイソンは別として、普通の男性が一人で来るというのは敷居が高いと思う。それに後から理解したのだけれど、この催しは明らかに、新入会希望者募集の宣伝の一つなのだ。だから男性が来てもあまりありがたくない。
中にはこのロッジの憲章の抜粋と共にこんな書類が掛けられていた。何かというと、ここの会員の娘は、別の会員が「代母」となって成人するまで面倒を見るというセレモニーの書類のようだ。シェリーというメンバーの娘をデイアーヌという名で養女とするとある。メイスナリー内部の話なので、要するに、教会での洗礼で洗礼名を与えて代母をたてるのと同様のセレモニーなのだろう。ここではみんなが姉妹なので原則としてみな姓でなくファーストネームしか使わない。
廊下にあるこの「母子像」の木彫は気に入った。Paule Belani-Pasquierがイニシエーションの記念に5978年に制作、寄贈したものだとある。5978年というのはフリーメイスン暦で、紀元前4000年だと言われる天地創造を基準にしたもので、「真の光の年」と呼ばれる。だから単純に4000年引いて1978年というわけだ。
「姉妹」の含意の他に、母と子のシンボルが濃いようなのは、やはり女性ロッジだからだろうか。
男性ロッジもそうだけれど、互助組織、ロビーという側面はもちろんあるわけで、「女性限定」の場合、国籍も人種も問われない普遍主義ヒューマニズムだから、世間的にハンディやプレッシャーのある同性愛カップルやマイノリティの人が来るのかなあとも思う。そういう意味ではある種の新宗教と似ていなくもない。
宗教に属していても無神論者でも不可知論者でも関係がない、というのはこのフランス型フリーメイスンでは徹底しているわけだけれど、ミックスを目指さず「女たちの都」を作ったのはなぜ?という疑問もわいてくる。
私の出席する第4テンプルは4階にある。
(続く)