次は、ウクライナのキリスト者。
哲学者のコンスタンティン・シゴフだ。
もちろんロ東方正教信徒である。
多言語を駆使し、出版社を率いて、発言範囲も広いので16世紀のユマニストのようだと言われる。エキュメニズム推進派で、いつもヨーロッパ全体が視野に入っている。
彼が守ろうとしているのは「人間の尊厳」だ。
だから、2013年にウクライナがEU加盟を見送ったことに抗議して起こった2014年2月の「マイダン革命」を支持する。
(ユーロマイダン広場での政府軍との衝突が内戦化した時、「ヒットラーの登場と同じだ」などと批判され、最初に調停を試みたのがドイツとポーランドだったというのも、第二次世界大戦やその後の冷戦の後遺症も実はそのまま残っているのだなと思わされたのは記憶に新しい。)
シゴフは、フランス語もネイティヴ並みだから、ウクライナとヨーロッパとロシアの問題がある度にフランスのメディアでもいろいろと質問に答えているしパリで講演もする。彼の視野は広くて深い。
その後、ドンバスの内戦が起こり、シゴフは、「希望の子供たち」というNPOを立ち上げて、戦争地域の子供たちの支援活動をしている。
ロシアもヨーロッパも、キリスト教文化圏。
エキュメニカルな諸派一致の立場に立てば同じ価値観で平和を気づくことは不可能ではないはずなのに、現実は、もちろん政治や経済の利害対立の方が大きい。
それでも希望を失わないで、「ヨーロッパ」には共通の哲学の言葉がある、とシゴフは発し続ける。EUそのものが、キリスト教ルーツをスルーしたり、経済原理にシフトしたりして理念を失いかけている時に、こういうキリスト者の信念ある発言の数々には、力づけられる。