Q : 一つの指標でしょうか? ポジティヴなものかネガティヴなものか?
「黄色いベスト」を見ると、フランスは自らを愛していない国、金持ちが困っている国だと見えるのでは…。
RD : そんなことは全くない、そんな風には映っていない。
政策に抗議して外に出てマニフェストする力があるということだ。それはフランスが観光やブランドの他に持つ反抗的革命的というイメージに合致している。「黄色いベスト」のシンボルが拡散したのはポジティヴなものがあるからだ。
Q : 「黄色いベスト」は「共同」を作りました。
RD : 互いにばらばらだった人々を「黄色いベスト」が結びつけ、「仲間」を見いだした。この現象を分析するのは難しいけれど、何か新しい芽生え、陽気なものがある。
「健全な社会」というわけではないかもしれないけれど、「健康」な感じを覚える。
Sekko : 確かに「市井の人々」が連帯して外に出るということに対してフランス人は原則としてポジティヴなイメージを持っている。
それに対して、イギリスなどはそれを避けようとする。アングロサクソン国や主として英語圏から情報を入れる日本では「暴動」のように報道されるものも、フランスでは、理解を持った眼で見られることがほとんどだ。
「生活に困っている人を支援する」のが「善」であるという基本的な姿勢は、新自由主義が席巻しても、まだ残っている。
ポリコレ的に健全でなくともどこか「健康」、という印象はなるほどだと思う。