フランスの現代史の大きな転回点は1945年、1968年の2度あったが、 2020年がその3度目になりそうだ、という人がいる。
1945年はもちろん第二次世界大戦の廃墟からの出発で、1968年は5月革命だ。
1968年、69年というのは日本でも「学生運動」が盛んになり、大学閉鎖や入試中止などの社会問題となった。
で、フランスの「5月革命」も、日本にいた私にとっては、当時世界中で勃発したかに見えた「学生運動」のうちの一つ、のような感じがしていた。
でも、今にして思うと、フランスにとっては、1789年のフランス革命、1830年の7月革命、1848年の2月革命と同列に語られる「1968年5月革命」だったのだ。
それらの革命の度に、「国益」と「公益」と「私益」の関係が変わった。
多くは、「国益」と「私益」の確執から「革命」に至り、「公益」へと収束する。
5月革命以降は、「EU」というディメンションも加わったのでより複合的で錯綜している。
そして今回の2020年コロナ禍は、EU内での国境封鎖も含めて、まさに「革命」というべき激震だった。
個人主義で知られているフランス人がロックダウン、罰則付き外出規制を全体としてあれほどすなおにを受け入れたのは、危機は「公益」に収束させるという伝統が働いたからかもしれない。
私は1968年のフランスにはいなかった。今回は、もう少し時間が経ってからコロナ禍がどのような「革命」となるのかをじっくり観察してみたい。