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L'art de croire             竹下節子ブログ

ノートルダム・ド・ロレットの聖母被昇天祭

8/15のフランスは聖母被昇天祭で祭日だ。ナポレオンの頃は「聖ナポレオン祭」の休日に差し替えていたけれど、なんだかんだいっても残る聖母関係の祝日。

9区のノートルダム・ド・ロレット教会については前に書いたと思って検索したら、まだ写真を挿入していない頃だったので説明だけだった。しかもジャンヌ・ダルクに関しての記事の中に入っていた。

だから今回は写真をたっぷりお届け。(上にリンクしたWikiにも写真がたくさんある)
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正面の屋根の上の三体の女神みたいなのは神徳の信仰、愛(慈しみ)、希望のシンボル(みんな女性名詞だから)。
コロナのせいでミサには30 分前に来いとか、ミサが始まったら扉を閉めるとかいうところもあるので30 分前に行ったら、扉が閉まっていた。
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ぐるっと一回り。この近くの修道院産グッズの店にはよく来る。
戻ってきたら横の扉があいていた。誰もいない。
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正面の扉を開けている。
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コロナ対策で空にされている聖水盤。
天使の表情も、こころなしか硬い。
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ここは内天井が張られているからお寺のお堂みたいだ。席にテープが張られていたり隣に座るなとか一列置きという指示はない。
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アヴィラの聖テレサのチャペル。
死の床のテレサ。
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四つの慈しみを絵で説明したもの。
旅人を迎え、まずしい人に施しを…一番上に死者の埋葬がある。
疫病が流行った時に留まって世話をしたり埋葬した聖人たちのことを思い出す。
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そもそも刑死したイエスの埋葬がその基盤にある。思えばとてつもなくドラマティックなスタートを切った宗教だ。
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この聖母子像はひっそりとかわいい。樫の木彫。
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聖母子像の下に花を置く人も。
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パイプオルガンは二ヵ所に。
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扉を開けていた人が蝋燭をに火を灯しに回っている。
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結局、ぎりぎりになってきた人も多く、バカンス中のパリとしては、まあこんなものという参列者だった。
後ろの席に、若い白人の夫婦が、ベビーカーに養子だと思われる黒人の赤ちゃんを連れて座った。女性の方がミサの時に祭壇にうつると、赤ちゃんがすぐにむずかり始めてお父さんが抱っこした。この子の実の親がどういう経緯でこの子を育てられなかったのかは知らないが、今ここでお母さんが立って行っちゃったから泣いたんだなあ、と思うと、あったかい気持ちがした。

司祭二人は、聖体を授ける時以外はマスクをしない。聖書の朗読者のマスクを外す。
司式をした若い司祭が美しいテノールで、すべてに心がこもっている。時々、白髪だがしゃきっとした年配の司祭が変わるが、彼の声がまた朗々としたバスで、この2人の組み合わせが、オペラを見ているようだった。オルガンの音の反響のし具合がまた絶妙で、思えばもう半年ぶりのライブだ。やはり、音楽は演奏者と聴く人が共にクリエイトする「場」であって、他の何にも代えられないと思う。

この教会で、午後五時からはオルガニストとソプラノがとアヴェ・マリア・コンサートを開く。
多くのコンサートが中止になっている時期、猛暑でも涼しい教会で、無料のコンサート、絶対に行くべきだ。
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ミサで会衆も歌えた聖母の歌はこのふたつだけ。
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共同祈願ではレバノンのために祈るだけでなく、レバノンに救助活動に行く人に力をお与えください、とあったのが、アフリカの人道組織のボランティアが殺されたばかりなので印象的だった。
説教では、マリアのことを「神のほほえみ」と形容していたのがなるほどと思った。
人は神のほほえみを必要としている。
また、「聖性」を求めるために、サッカーをする少年たちがみんな、グリエズマンやらネイマールになろうしてがんばっている、なれないことは分かっていても、本気でがんばっているという例を出して、私たちも聖人になろうとするべきだ、と言っていた。
コロナ禍のミサということであらためておもしろいと思ったのは、聖体パンとワインを奉献する前に、司祭同士がうやうやしく消毒ジェルを手にかけあって、信徒によく見えるようにしっかりとこすっている様子だ。「ほーら、ぼくたちはちゃんと手を消毒してますよ」ってパフォーマンスしているようで、なんだか、ポンス・ピラトが自分の責任逃れのために手を洗っているシーンを思い出してしまった。
こういうのがこれからのミサの基本プロトコルに組み込まれるんだろうか。

フランスでは、今「マリアのM」という行事が進行中で、御出現のあったサレットやルルドから聖母像が出発して、それをつなぐのがMの字になっていて、8/15にパリで集合ということになっている。ある意味で、カトリック教会は、「疫病退散祈願」行列やらのエキスパートだったわけで、コロナ禍の今、その気になれば、いろいろなことが身近で起きているので楽しい。

涼しかったので帰りはメトロ4駅分を歩く。
なつかしいサン・ヴァンサン・ド・ポール教会の前を通る。
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by mariastella | 2020-08-16 00:05 | 宗教
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竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/

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