ワインを飲む人、あるいはフランス人ならだれでも知っているボルドーワインとブルゴーニュワインの違い。
ボルドーは熟成させて飲む、ブルゴーニュはその年の新鮮なものを飲む。
ブルゴーニュワインの一種であるボージョレー・ヌーヴォーが毎年の解禁日を待って飲まれるのは日本でも有名だ。
ボルドーは宗教戦争の時代、フランスのプロテスタントの拠点だった。
で、カトリックのブルゴーニュとの差がはっきり出てきた、とジャン=ロベール・ピットは言う。
カトリックは教皇庁のカテキズムを守っていればいい。あとは楽しく生きる。
プロテスタントは常に自分の内面を精査して「良心」をチェック。
カトリックは消費する。
プロテスタントは稼ぎ、貯蓄、投資する。
カトリックは余暇、文化。
プロテスタントは働く。
カトリックはオプティミスト、貧しくても子だくさん、ブラジルのスラムに住んでいてもリオのカーニヴァルで派手に金をかける。
で、ブルゴーニュのワインは、すぐに楽しく飲み、
ボルドーのワインは大事に取っておいてちょびちょびテイスティング。
ほんとに17世紀以来、そうなってきて、メディテーション・ワインと言われる。
ピットはそこいらの社会学者とかではなくて、ソルボンヌの学長も務めた文化地理学者で本格的な知識人だ。カトリックだが、ハンガリーのユダヤ人にもルーツがあり、ヨーロッパ人を自負している。彼が、カトリック文化圏のちょっといい加減で怠け者、享楽的な文化の伝統を書いた『カトリックの惑星--ある文化地理の試み』を出版したところなので、読むのが楽しみだ。
試しに検索してみたら、なんと日本でもピットのワインについての本が訳されていた!
あ、ついでにこの関連記事を別ブログに書いたのでどうぞ。