8月末のバカンス記事、まだまだ続きます。
次は、いつも泊まるル・マン郊外の家と、そこからレンヌに行く途中で寄ったラヴァルの友人の家の話。
最初の家は基本的に親戚の「別荘」なので、大昔は犬がいたけれど、今は動物がいないはずだ。それなのに、いろいろ遭遇する。
去年の秋以来久しぶりに訪れた。池の周りをゆっくりと一周する。
保護色でよく分からないけれど、カエルがぴょんぴょん。
庭のテラスには、迷い込んできたという雄鶏。
朝の4h30から鳴かれたのにはまいった。
向かいのうちの猫も平気で入ってくる。
次の日はラヴァルの旧司祭館に住むジルベールのうちに。
庭側からうちを見たところ。
うちの中から庭を見る。窓際に鳥の餌箱みっつ並んでいて、たくさんの鳥が来ていた。カメラを向けると逃げられたけれど。
家の中にはウサギも。
庭には羊も。アヒルや鶏たちも。
心が和む。首都圏に住んでいるとめったに見られない。
この日は、9月から医学部に進学するという孫息子が来ていて、バッハのトッカータなどをピアノで弾いてくれた。
というと、とっても幸せな感じだけれど、実はジルベールは3月に連れ合いのジュヌヴィエーヴを亡くしたばかり。その数ヶ月前まで元気で、癌が発覚した時はもう手遅れだったとか。
家の中にも庭にも、ジュヌヴィエーヴのテイストが至る所に残っている。
ジルベールは、リタイアしたエンジニアだけれど、娘はスイスに住んでいて、実は息子(いっしょにいた孫息子の父親)も亡くしている。息子の死についてぬぐいきれない罪の意識みたいなものを引きずっている。70代前半。元気なようで、いろいろなものを失う年齢でもあり、行き先が突然不安になることもある年齢だ。
家の前庭には巨大な珍しい樹がある。
アラウカリア。
その横にイチョウ。
この二つは「世界最古の現世樹種」なんだそうだ。はるか壮大な気分になる。
鳥、羊、ウサギ、最古の巨木、祖母のピアノでバッハを弾く18歳の青年、もうそこにはいないジュヌヴィエーヴの写真。コロナ禍と遠くにある穏やかな小宇宙のように見えるこの旧司祭館には、いろいろなドラマがつまっている。