ラファエル・ロスロ―の『Covid-19を好機とする』という本についての著者インタビューを聞いて、なるほどこういう見方、目指し方があるんだと知って、目が覚めた思いだ。コロナ禍をきっかけとして考え直す、と言えば、エコロジーだとか、グローバリゼーションが悪いとか、中国依存をやめようとか、そういう類のものかと思っていた。
こういうことに詳しくない人のためにここで解説する時間も意図もないので、覚書だけれど、要するに、株主ストックホルダーの利益だけ追及する資本主義と、企業を取り巻く環境全体ステークホルダーの利益も考える資本主義の2種類の話だ。でも、今は完全に、前者が後者に取って代わってしまった。
ストックホルダーの利益を最大にする「成長」が最優先で投資、融資が行われる。で、目指される成長率は15%。
地元的には4%の利益率で充分なのに、国際的には15%が求められる。
ところが、どの国もここ半世紀、実は借金だけで動いている。
フランスでは、投資家が、1ユーロ投資すると、その半分、50セントは中国などの国外に回される。
1ユーロの融資が3ユーロを生むはずだった。
今は、1 ユーロを生むために3 ユーロを融資しなくてはいけない。
つまり、投資の3分の2はその企業で働く人や地域の人の利益を生んでいない。
食べていけなくなった人々は抗議行動を起こし、つぶされる。
ロスローは中小企業が4%の成長をするように融資している。
具体的なノウハウがある。
Covid-19での経済危機を救うためにEUが大規模投資、融資をすることはロスローも賛成している。短期的にはそれしかない。けれどもその後でこそ、投資の考え方を根本的に変えなくてはいけない。
ハンナ・アレントについても言及されている。
ロスローがNPO的な経済活動を奨励し、実践するのもよく分かる。
彼は、「資本」を小さくすることで、今の世界経済の異常さから逃れる方法を提唱する。コロナ禍後の経済立て直しが、それをするきっかけになるというわけだ。
ここからさらに、ハンナ・アレントとアウグスチヌス、セレマなどについて考えが広がるのだけれど、それについてはまた。