公開当時はまったく興味をもてなかったのに、なんとなくTVで見始めたら、景色のすばらしさにも惹かれて最後まで見てしまった。原題が「愛の谷」で、舞台が「死の谷」デスバレーで、邦題が「愛と死の谷」か。まあ言い得て妙かも。
こんな場所があるのだから、アメリカってフランスにいたら想像もできない広大なところなんだなあ、とあらためて思う。これは大画面で見たかったかも。
でも、ドゥパルデューがあまりにも肥満していて、しかも、裸のシーンが多すぎて、目をそむけたくなるので、大画面でなくてよかったのかもしれない。
ジェラール・ドゥパルデューとイザベル・ユペールが35年ぶりの共演で別れた元夫婦役なのだけれど、互いに自分のファーストネームを持つ俳優の役で、自伝的な部分があるのではないか、などと言われていた。監督のギヨーム・ニクルーのギヨームがジェラールの死んだ息子と同名なのも。
先に撮影場所を決めて、後でストーリーや配役を考えたのだそうで、はじめはライアン・オニールを起用して英語で撮影する予定だったらしい。
二人の主役が見た目が正反対なのに存在感があり過ぎて、つい本気で見てしまう。
半年前に自殺した息子と会えるかどうかというミステリーも、意外な終わり方も、よくできている。ミニマリズムの映画とも評されていたけれど、不思議な映画だった。
デスバレーって、夏は朝から晩までずっと50度を超える暑さだそうで、それもすごい。こんな場所でも昨今の「異常気象」の影響ってあるのだろうか、と考えてしまった。