『最強のふたり』の監督エリック・トレダノとオリヴィエ・ナカシュがオマール・シー、シャルロット・ゲンズブール、タハール・ラヒムという役者をそろえて撮った2014年の作品。
昨日の記事に書いたBHLのインタビューを見た後で、そのままなんとなくTVで観てしまった。
劇場公開された時は地味な感じで食指が動かなかったのを覚えている。
実際に不法滞在の移民や難民、亡命者らの収容所の実態を取材し、彼らの滞在許可の申請を助けるボランティアのドキュメント小説をもとにした映画で、そのリアリティに衝撃を受けた。窓ふき、ごみの分別、建築現場などの「日雇い労働」は、日本では、日本人「ホームレス」の仕事だと思っていたけれど、フランスでは、移民、それも「不法滞在」の移民が事実上の労働力になっているのだと知った。ビザが失効して収容所に入れられた後でそこを出されても、ビザをもらえるわけでもなく、強制送還させられるわけでもなく、事実上また「野放し」になるケースもあるのだ。
これを見ていると、あらためて、BHLなんて、レスボス島やシリアやマリに行く暇や金があるのに、彼の出したゴミを分別しているセネガル人らの実態には興味がないのかなあ、と思ってしまう。
うちにいたフィリピンのメイドさんとの葛藤のことも思い出してしまった。
映画が付け加えたフィクションは、バーンアウトして休職中のキャリアウーマンが移民相談のボランティアの現場に連れてこられてセネガル出身の「サンバ」と出会うという設定だ。
このシャルロット・ゲンズブールのバーンアウトで空っぽになった演技がすごい。最後のシーンの一瞬だけ、回復した彼女の挑戦的な笑みが見られる。
タハール・ラヒムも相変わらずうまい。
オマール・シーやタハール・ラヒムのようなスターが存在すること自体が、フランスの移民の歴史や、フランス人にとっての「人種」問題が、アメリカのそれとはまったく違うことをあらためて実感させてくれる。こういう映画を制作することができるということも、考えてみると、この国の魅力のひとつだ。
でも、ボランティアたちと移民や不法滞在者たちが楽しく踊っているシーンでは、今それを見ている2020年の現実であるパーティの禁止やマスクやソーシャル・ディスタンシングのことを考えて、複雑な気分になった。
今のフランスで、映画の撮影などやっているのだろうか?
いつの日か、フランスのマスク狂騒曲についてのコメディ映画が登場することがあるのだろうか・・・
(「聖者の谷」シリーズの後で、同じブルターニュで、これも驚きのエルサレム再現のポンシャトーについての5 年前の記事に写真を挿入しました。 参考に。)
もう一つ、フランスのコロナ厳戒態勢について心配してくださる人に健康ブログ記事をアップしました。