慈しみの特別聖年の思い出ちょうど5年前、慈しみの特別聖年というものが始まった。 「慈しみの扉」というものが設定されて、巡礼してそこをくぐると「ご利益」があるという楽しそうなものだったので、そういうものが好きな私はいろいろなところに行こうと思っていた。でも、パリで同時多発テロがあり、教会でのテロもあったので、有名な教会に行くのはスルーした記憶がある。 特別聖年について。 フランスでは、パリを避けて、復活祭の期間にイエスの上衣が公開されたアルジャントゥーユの慈しみの扉をくぐった。
さて、12/29 の「巡礼」。 その少し前、東京カテドラルとイグナチオと神田教会がマリア・トライアングルというパワースポットなのだという記事をネットで読んだ。 そのことを友人に書いたら、イグナチオ、神田、築地を経て聖マリアカテドラルという案が出た。 麹町、神田は歩いて30分、そこから築地は1時間以上ということで、築地でお食事、カテドラルは次回にということになったのだ。 なるほど、イグナチオも神田も築地も特別聖年の巡礼指定聖堂だそうだ。そういえばカトリックの雑誌に指定聖堂はどこか担当司祭に聞きなさいと書いてあった。それなら指定聖堂は聖年の間は毎日開けとかないと、と思ってしまう。その後、日本語で検索したらあるブログに
と書いてあったのでハードルの高さに驚いた。ま、「基本」とあるから全部でなくてもいいのかも知れないけれど、一応フランス語の祈りをダウンロードして持っていくことにする。 しかも、イグナチオから神田に行くまでになんかもう新しい罪を犯している気もする。 この日の巡礼についてカトリック雑誌に紹介したものがある。ここに転載。 >>>カトサプ117 特別聖年の巡礼 日本の年末と「馬小屋」。 昨年末フランスのクリスマスの終わった後で久しぶりに年末年始を日本で過ごした。 その前年は一二月初めに日本に滞在したが、クリスマスのデコレ―ション、イリュミネーションが華やかだったことを覚えている。滞在先の表参道には並木に電飾が施されてシャンゼリゼのように華やかだった。ところがクリスマスの後で帰国すると、表参道の並木は電飾がまだ付けられたままなのに点灯しない。その代わりに「明治神宮」と書いた提灯と日の丸の旗がずらりと並んで正月の近いことを知らせている。 もともとこの通りは元日の零時に初詣客であふれる明治神宮の表参道なのだから当然なのだけれど、クリスマスの飾りが一月半ばまでそのまま残されるフランスの街並みに慣れているので何かが足らないような気がした。フランスの町のクリスマス気分は一月六日の公現祭(東方の三博士が幼子イエスを訪問、礼拝)で王様のガレットを食べ、クリスマスから四〇日後の二月二日の(幼子イエスが律法に従ってエルサレムの神殿に捧げられた)でクレープを食べるまでひと続きだからだ。 表参道に面したユニオン・チャーチのウィンドウに「馬小屋」を見つけた時はなんだかほっとした。クリスマスに始まる幼子イエスのお祭りはまだ終わっていない。次に「馬小屋」を見たのは、慈しみの聖年の巡礼指定教会である麹町のイグナチオ教会の前だった。思わずのぞきに行くと、杖を突いた年配の男性がやはりじっと眺めていた。並んで見ていると、「この赤ちゃんが、大きくなって牧師さんになるんだって」と話しかけられた。「うーん、人々の牧者だけれど神さまが送ってくれた子供なんですよ」と答えたら、いろいろ質問されて、馬小屋を前にいろいろな話が弾んだ。「自分は飲んだくれだから」というのだけれど酔っていない。聞けばアルコール依存の自助グループに参加していて、アメリカ人の創立者を記念して毎年暮れに開かれる麹町教会での集まりに参加した帰りだそうだ。 恵みは出会いにある 会で配られたプリントを見せてくれた。アルコホーリクス・アノニマス(AA)は参加者たちの意志と生き方を、自分なりに理解した神の配慮にゆだねる決心をし、祈りと黙想を通して、自分なりに理解した神との意識的な触れ合いを深める、神の意志を知ることと、それを実践する力だけを求める、グループの目的のための最高の権威はただ一つ、グループの良心のなかに自分を現される愛の神であり、リーダーは奉仕を任されたしもべであって、支配はしない、と教えてくれた。その人はアルコールのせいですべてを失ったけれど、もう何年も飲酒していない。「じゃあ飲んだくれじゃないじゃないですか」と言うとにっこりしてくれた。お正月もひとりで過ごすのかもしれないその人が、年末に教会に来て、街中では見当たらない馬小屋の前で飼い葉桶に寝ている赤ん坊を見つめる。この人と分かち合えた数分間はそれだけで巡礼の奇跡、最高のクリスマス・プレゼントだった。 その後でやはり巡礼指定教会である神田教会に向った。学生時代に通っていたアテネ・フランセがある水道橋や神保町なのに、駿河台のニコライ堂と違って少し脇に入るだけで、神田教会のことを知らなかった。東京で最も古い一八七四年にできた由緒ある教会ですばらしいステンドグラスもあるのに、観光情報にはまったく出ていなかった。遠いフランスのパリのノートルダム大聖堂やサクレ・クール聖堂、郊外のシャルトル大聖堂にまでガイドブックを携えていくのに、日本では長崎以外の教会の情報など一般人には入っていなかったのだ。デジタル社会の今では「東京カテドラルと神田教会、麹町教会が正三角形をなすパワースポットとなっている」などという記事をウェブ上で見つけることができるけれど、それでも、カトリック教会のほとんどは信徒の共同体以外には無縁の場所だと思われている。それなのにクリスマス・イヴの有名教会は信徒でない人も押し寄せていっぱいになるというのだから、「場」の力を求めているというより刹那的な雰囲気を味わいに来るということなのだろう。都心の教会を「巡礼」しながら、霊的な出会いの場は日本でもずっと前からあったこと、世界中の聖堂と同じものが私を待っていたことを実感した。 築地教会の不思議な魅力 神田教会から次の巡礼指定の築地教会までは歩いて巡礼気分を味わった。二〇一四年の秋に東銀座に泊まって築地本願寺でコンサートを開いた時は、築地は魚市場と本願寺というとても日本的な場所だと思っていた。でも神田から新富町まで歩いていくと遠くからまず目に入るのが聖路加病院の上に掲げられた十字架だった。左手に現われたのがパリのマドレーヌ寺院と同様のネオ・クラシックのギリシャ風(石造りに見える木造モルタル)の築地教会だ。ここも東京最古の教会で、司教聖座が置かれていたこともある。築地の明石町は外国人の居留地でキリスト教にゆかりのある場所だったのだ。築地教会はアナクロニックな別世界の建物のようだ。レンガ造りだった最初の教会は関東大震災で破壊されて建設しなおされたが無傷で残った聖ペトロ像は今でも見られるし、ほとんどがイエスの顔のアップだけで表現された「十字架の道」の十四場面の作品も魅力的だ。 旧聖堂時代からのアンジェラスの鐘はフランスから贈呈されたもので、「私は江戸のジャンヌ=ルイーズ、レンヌから来ました」と銘がある。レンヌはブルターニュの都市で、私も秋に滞在したばかりだったので、親近感を覚えた。祭壇の前にはちゃんと幼子イエスが寝かされている。フランスでのクリスマスから年末の日本まで、教会という「場」を通して、同じ「霊性」が生きていた。特別聖年の「全免償」を得るためには主の祈りや信仰宣言といっしょに教皇の「いつくしみの特別聖年のための祈り」を捧げることなどいくつかの条件がある。日本語の祈りはそれぞれの場所でもらえる。でも最初に必要なのは、いつくしみにあずかりたい、それを分かち合いたいと望む気持ちだ。私は各種祈りのフランス語版をプリントして持参していた。何語でどんな気持ちを抱えて祈っても、教会とは心の天窓を全開できるところなのかもしれない。 お正月の初詣なら華やいだ人混みで「正月気分」を分かち合いながら、それぞれが一年の無病息災や家内安全から商売繁盛や志望校合格までさまざまな祈願をする。キリスト教の聖堂や巡礼地にも病の平癒やさまざまなトラブルの解決などを必死に祈っている人々の姿はある。でも「いつくしみの聖年」の巡礼でイエス・キリストに「あなたは、ご自分に仕える者が弱さを身にまとい、無知と過ちの闇の中を歩む人々を、心から思いやることができるようお望みになりました。これら仕える者に出会うすべての人が、神から必要とされ、愛され、ゆるされていると感じることができますように。(教皇の祈りから)」と祈ってみたら、赦されたいとか赦されるとは何なのかが、おぼろげながら、見えてくる。<<
by mariastella
| 2020-12-29 00:05
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