これを書いているのはバイデン新大統領の就任式がはじまったばかりの時点だ。
バイデン支持の人の中には、軍隊がクーデターを起こしてくれることを期待してTVを見入っている人もいるというから驚きだ。そういう人が、プアホワイトというわけではなく、インテリ層のカトリックで、ただ、選挙の不正を信じてトランプが勝ったと考えているだけの人もいる。暴動を期待しているのではなく「公正」を期待しているのだという。
トランプの支持者というと、キリスト教の教条主義っぽいイメージの「福音派」信者たちという感じだけれど、福音派はアメリカの25%で、 その70%が白人で、その80% がトランプに投票したというのだから、福音派=トランプというわけではもちろんない。
カトリックは伝統的に民主党に投票していた。1930~60年代は特にそうだった。 1970年代から少しずつ共和党支持者が増えたのは、特に「妊娠中絶の合法化」が政局化してからだ。
オバマ大統領時代は、中絶合法化派の民主党である国務長官ジョン・ケリーがカトリックなので、どこに行っても、司教たちから聖体拝領を拒否された(ケリーはハンガリー・オーストリア系で、前妻との離婚の後もカトリック教会から正式に結婚の秘跡の無効を認めてもらったほどのカトリックだった)。
今回のバイデンも中絶合法化だけれど、時代は変わった。カトリック教会との表立った軋轢はない。
2016年のトランプはカトリックの支持も受けて、カトリックの60%の票を獲得した。エスタブリッシュメントの保守派カトリックのロビーの力が大きい。フランシスコ教皇を批判している勢力だ。保守派のカトリックはナショナル・カトリック化していった。そのことで、トランプ支持のカトリックは50% に減った。
共和党のカトリック候補が実現しなかったことが残念だと言ったカトリック司教もいる。
と言っても、もともとアメリカのカトリックは、共同体主義的で、移民別に、イタリア系とかアイルランド系とか、オーストリア系、あるいはヒスパニックなどと、時代的にも分断されていて棲み分けがある。日本の仏教とかフランスのカトリックのような「なんとなく先祖の宗旨」ではなく、アメリカでは宗教、宗派への帰属の明確化が国家の設計思想に組み込まれている。
2013年に、南米出身のフランシスコ教皇が誕生したことは、さぞやサプライズであり、困惑のもとでもあっただろう。実際のリアルポリティクスにそれをどう利用するかという手腕が必要だとされる。
ケネディ以来のカトリック大統領バイデンの行く先を見ていきたい。