(前の記事の続きです)
Q : 具体的にこの法案の何が信教の自由にとって危険なものになりますか?
A : この法案は宗教の典礼をすべて私的な空間に閉じ込めようとしていて、全ての宗教には潜在的に反社会的なものがあると疑っているようなものです。新しい宗教施設を作るのに、知事による認可が必要で5年毎に更新する必要があるなどです。これは共和国主義を後退させるもので、イスラム原理主義に追い込まれていることと同義です。
イスラム原理主義に対抗するには、フランスで宗教の自由の空間を狭めることなどではなくて武力を含めて強硬に臨む必要があります。政教分離法以降にできた宗教団体の4分の3はプロテスタントの団体です。今回の法案がプロテスタントを標的にしているわけではないのは明らかですが、これは暫定法ではなく続くものですから、別の見方を持つ政権に変わった時にどうなるかの保証はありません。
Q : 国会での公聴会の折りに、あなたは数名の議員が特に問題視した福音派プロテスタントについて強く擁護しましたが、その理由は ?
A : 私の役割はプロテスタント全体を守るものです。私が福音派を擁護したのは、福音派を攻撃する人たちは、自分たちがイスラム差別主義者というレッテルを貼られないためにという理由だけで福音派批判を利用しているからです。(Sekko : つまりイスラム批判だけでなくキリスト教も批判しているというアリバイ)
Q : 福音派はコロナ禍の最初にクラスターを出した時のようにフランスで特に警戒されているのではないですか ?
A : それは今回のテーマと異なります。福音派はこの感染症騒ぎで自分たちが偏見の被害者だったととらえるべきではありません。彼らは、イスラム批判を相対化するために利用されているのです。大切なのは、今やイスラム教がキリスト教に次ぐ第二の宗教だということを共和国がようやく認めるかどうかです。
Sekko : 人々が宗教に無関心で無知になっていることは日本とフランスではよく似た空気なのだけれど、そもそも明治以降の帝国主義を支えたのは昔からの仏教と神道の習合したものではなく一神教をモデルにした「国家神道」で、歴史が浅いから敗戦と共に存在感がなくなり、イデオロギーだけが残った。
フランスの帝国主義はキリスト教文化圏ではない国へと広げられたけれど、日本の帝国主義はもともと日本の文化のルーツでもある大陸へと向かったから、それぞれの「後遺症」も異なる。その差がこういう時にはっきり表れる。
(続く)