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L'art de croire             竹下節子ブログ

フランス・プロテスタント連合と政教分離 その7 (終わり)

Q : 宗教改革から500年を記念した2017年以来、フランスのプロテスタントにとっての次の課題となるのは何ですか?

A : 20211月が、ルターが破門されてから500年です。このことの意味をローマ教会にもフランスのカトリックにも考えてもらいたい。当時においてはシンボリックな死刑宣告に等しいことだったのですから。それ以外のこれからのテーマとしては、まず、環境・気候問題、次に、宗教間対話です。キリスト教同士で聖餐の神学について言い合っている場合でなく、一神教のパートナーであるイスラムとどう共生するかが緊急の課題です。3つ目が外国人の受け入れです。他者に居場所を設けることのできる社会をどのように構築するかということです。

Q : 2017年の大統領選で、プロテスタント連合は最終投票でマクロンに投票するよう呼びかけました。終盤に入る彼の政治をどうみていますか?

A : 総括するのはまだ先です。とはいえ、フランスが欧州の民主主義の中で預言者的言葉を持つということを想起させる力が足りていません。移民に関して、我々はもっと多く迎え入れることができる。キリスト者の市民社会には用意ができている。フランスは懐が深いですが、世界に占める力にまだまだ見合っていません。プロテスタントは満足していません。エコロジーについても首相が充分発言していないしビジョンもない。


Q : Après Dieu神の後に)』(Cerf)という本を書かれましたが、もはやキリスト教社会とは言えない今の社会においてキリスト教の言葉をどうやって届けることができますか?

A : 今、キリスト教の言葉を伝えるのに3つのスタイルがあります。ひとつは、「上から賜る言葉」、ローマ教皇の言葉のように。プロテスタントには必要がありません。同胞愛やらエコロジーについて意見してもらわなくとももうとっくに取り組んでいます。2つ目は犠牲者主義の言葉。「キリスト者の言葉は届いていない、軽視されている、フェイクニュースの的にされている」などと嘆き訴えるものです。意味もないし効果もない、キリスト教にも反しています。実際に犠牲者となったイエス・キリストは、自分の価値を知らせるために犠牲者ぶったりしませんでしたから。

3つ目が、慎ましく、でも絶対にあきらめないで言葉を貫くことです。最後の過ぎ越し祭にイエスをエルサレムへと運んだロバのように。力づくで突破するような策略をとることなく、今ある状況の中で、信頼に基づいて忍耐強く歩み、福音を届けることです。このポジションから離れると、キリスト教はイデオロギーになったり、ロビー活動になったり、議会に備え付けるアンテナになったりするのです。

Sekko : この『神の後に』という挑発的?なタイトルの本には、キリスト教が自らを再発見する3つの道というのが書かれている。まず、自分の人生を変えるほどのインパクトのある人々の証しを通じた個々の出会いの道。次にテロの犠牲者や難民、壊れていく地球などの涙に寄り添い共感して癒そうとする道。最後に、政治と宗教の問題、ユダヤ教やイスラム教徒の対話などの具体的で意味のある参加の道。


フランスでは大いに意味のあるアプローチだと思う。

やっぱりフランスのプロテスタントって、歴史を背負っている。

日本だとカトリックもプロテスタントもマイナーだし、偶然の出会いでどちらかに属することも多い。

いわゆる隠れキリシタンの子孫のようなカトリックの人は別枠だろうけれど。

で、日本は、「神の後」とか「神は死んだ」などという衝撃がない。

ひたすら政治的だった「国家神道」すら、完全に払拭されたというわけでもない。

日本語で調べたことがないけれど、フランス語にdieu bouche-trou(穴埋めの神)という言葉がある。科学で説明できないところを埋める神という意味だ。どんなに科学技術が進んでも文明が発達しても、すべてを理解したり解決したりできないので、その部分を埋めるために「神」がとっておかれるということだ。その場所がどんどん小さくなってもう神は要らないかも、人間が全知全能だという進歩主義の時代もあった。でもある意味で、科学が発展すればするほど、未知の世界も増えるわけだし、「死」もなくならないし、天変地異や疫病が起きる度に「神頼み」が生まれる。(逆に「神も仏もあるものか」という否定形で動員されることもある。)

日本の社会って、穴だらけなのかどうか知らないけれど、神さまたちは安泰だ。

フランスでもカトリック世界は、濃度や密度がどんどん下がったまま、神や聖人たちが何となく穴をふさいでいるのかもしれない。この記事でプロテスタントからの真摯な問いかけをちゃんと読めたことはありがたかった。(このシリーズはこれで終わりです)


by mariastella | 2021-02-26 00:05 | 宗教
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竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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