もうひと月前になるが、パリのサン・メリー教会のボーブール司牧センターの活動がパリ大司教によって停止された。2人の司祭が一般教区民から激しく批判されていたということであり、彼らの前衛的な活動が内輪のセクト化しつつあって分断のリスクがあると見なされたと言われている。
このセンターは移民や難民の救援にもフェミニズムやLGBT支援にも積極的で、文化活動が特徴的だった。前にこういう記事を書いたことがある。
フランシスコ教皇のエスプリとも合っているのに、一つの時代が終わったのはなぜだろう。結局、パリの五月革命以来の1968年世代で、教会離れをしなかった若者たちが教会に留まって革新した試みだったのが、彼らの高齢化と共に若い世代とのギャップが生まれてきたのかもしれない。
その次にヨハネ=パウロ二世世代というのがあって、彼らはもっと保守的で自然体のカトリックであり、そのまた次の世代というのはさらに純粋な信仰者という感じで、もはや「冒険者」ではない。「教会離れ」が定着したので、「敬虔な信徒」と「宗教全般に無関心な消費者」の棲み分けが進んだようにも見える。
80代にしてフランシスコ教皇のような「前衛」もいるのだからカトリックはおもしろいのだけれど、フランスのような国の都会での多様性が豊かなものとならずに、無教養とか無関心へと拡散していくのは、いろいろな意味で心配でもある。
その流れの中でコロナ禍がどのような影響を与えたのか、いつか分かる時が来るのだろうか…。