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L'art de croire             竹下節子ブログ

ホスティアの奇跡 1

ホスティアというのは、カトリックで聖餐式(ミサ)で拝領する薄い聖体パン(水と小麦粉だけでできている)のことだ。カトリックではこれがイエスの体、ワインをイエスの血としている。そんなことはあり得ないだろう、というので、プロテスタントでは一般にそれはシンボルであって、イエスの最後の晩餐を記念しての分かち合いだと言っている。
こういう風に書くと、昔の人はこういうことでも信じたんだなあ、と思うかもしれないけれど、ローマ・カトリックがデフォルトとなったヨーロッパ千年の歴史の中で、「最高の知性」が神学関係に集まっていたのだ。「とても信じられない、でもこれを疑うと信仰のすべてが崩れる」と悩んだ人はいくらでもいる。

その疑いを晴らすように、時々、ホスチアは肉になり、血を滴らせる。
ナジュのマリアで有名な韓国の「血の涙を流す」マリアのお告げを聴いたジュリアがホスチアを口にすると肉片に代わったというようなパフォーマンスもある。
昔その取材に誘われたこともあるけれど、簡単な手品だって見抜けない私がどんなパフォーマンスを見ても、「見たから信じた」なんてことにはならないので立ち消えになった。

でも、人の口に入ってからではなく、ホスチアがひとりでに肉となり血を流す奇跡でバティカンに認定されたものも130件以上ある。
慎重なヴァティカンが認めたのだから、やはり驚くべきものが目白押しだ。

個人的には、別に疑いなんて抱かない。
カトリックでホスティアがキリストの肉に化体するといっても、別にホスティアが肉の姿にならなくても、キリストの肉がホスティアの姿になると思えばいいんじゃない? 神様にはなんだってできるんだろうし。
ホスティアが肉になるとか肉の味がするとしたら気持ち悪いし、ベジタリアンはどうする?  第一いろいろな奇跡で、ホスティアから血が滴るのって、血は聖餐の葡萄酒の方でしょう、棲み分けしてるんじゃないの? シェイクスピアの『ベニスの商人』とか思いだしてしまう。奇跡でもなければ肉と血は分けられない。

いや、私のような軽薄な発想はともかく、ホスティアがキリストの体というのはいつも「本気」だった。

錚々たるカトリック神学者たちが何と言っているかご存じだろうか?

「ホスティアの化体の神秘は最大の困難を凝縮していて、我々の知性に最大の犠牲を要求する」

それほど困難なことだからこそ、時々「奇跡」が起こるというわけだ。

その奇跡について何度かに分けて紹介していこう。

そのプロローグとして1999年のルルドの全フランス司教会議の折り、パリ大司教の横でリヨン大司教が聖餐を司式した時の公開ミサのビデオ(公共放送の中継録画だった)を紹介。これは肉や血の話ではない。
このホスティアは信徒が受け取る小型のものでなく、司祭たちが分け合う大きなものだ。それが、突然、祭壇の聖体皿の上から2cm浮き上がって、そのままのポジションに留まった。みんな驚いただろうけれど、全員が無視、奇跡の認定の申請もなし、完全にスルーされた。(2007年までは箝口令さえ敷かれていた)

あらゆる意味で不条理な現象で、何の意味もない。前述したように、私はテーブルマジックでも全然見抜けない人だから、ホスティアが突然浮揚する仕掛けがあっても見抜けないだろう。でも、この文脈で、こんな奇妙なパフォーマンスを誰かが仕掛けるなんてあり得ない。中継映像にも手が加わっていないと公共放送がわざわざ答えている。

20 年以上経ったけれど、あれが何だったのかは誰にも分からない。
疑いを持つ司祭の信仰を深めるという文脈どころか、こんなものが映ってしまったのはほとんど「不都合」だったのだ。

でも、これから少しずつ紹介していくけれど、ホスティアの奇跡って、聖痕者や聖人の空中浮揚やらと違って、一見地味なのに、みな途方もなく不思議としか言いようがないものばかりだ。
お楽しみに。





by mariastella | 2021-04-27 00:05 | 宗教
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竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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