パリから200 kmほど北に向かい、ベルギーとの国境や北の海に隣接するノール(北)地方は、今は、暗いイメージの北という代わりに「Hauts de France」(フランスの上部)と名を変えた。正確にはパ・ド・カレと合体したのだ。(カレーはロダンのカレーの市民群像で有名な英仏海峡の港町)
でも私には一時期フランドルの田舎の家を所有していたこともあるなつかしい地方なので、ここではノール地方と書くことにした。
去年、半年に及ぶロックダウンの後、8月末に半年ぶりにブルターニュの海岸に泊まった時の解放感が忘れられず、今度は北の海に行くことにした。6月にはポンマン巡礼が楽しかったけれど、やはり「海」が見たい。山と海に挟まれた「阪神間」に生まれたせいかもしれない。
45年前、ヴィシィでのホームステイなどを終えて初めてパリより北に向かった時は、その平たんさに驚いて、フランドル派の絵画の風景画に空が占める大きさに納得がいった。

それは今も変わらない。平野が続く。変わったのは、風力発電の風車があちこちに建てられていること。

ヴァランシエンヌに着く。中心街に出るために乗るトラムウェイの駅に向かう道にSt Vaast教会がある。
この綴りを見るだけでノール地方に来たなあという感じがする。
St Vaast はフランス語なら聖ガストン、英語なら聖フォスター、5世紀末にクローヴィスをカトリックに導いてランスのレミ大司教から洗礼受けている時にクローヴィスの王冠を持っていたという。その後で北のカンブレ(ヴァランシエンヌはカンブレ司教区)やアラスの司教に任命された。当時はアッチラの侵攻の後で教会は荒れ果てて熊(狼というヴァージョンもある)が住んでいたが、Vaastに説得されて出ていった。
だからピカルディやこの辺りには彼の名を冠した町が少なくない。


残念ながら、今のフランスの多くの教会のように、常駐の人はいないから盗難防止のためにミサの時以外は扉が閉まったままだ。
ヴァランシエンヌの国鉄の駅前でトラムウェイを降りる。
これは市役所。
今回、ヴァランシエンヌに来たのは、「聖なる赤い紐」の聖母像を近くで見るためだ。(続く)