ルネサンス覚書の続きの前に余談。
先日TVで、アメリカのケネディ大統領夫妻が初めてパリに来た時の映像が流れていた。
故人がフランス語で話しているのをTVなどで聞くのはいつも不思議な気がする。
リアルタイムでなら、私にはそのフランス語がまったく聞き取れなかっただろうからだ。
今は完全に聞き取れるので、まるで同時代人のように身近に感じてしまう。
ジャクリーン・ケネディがフランス系だということは知っていたけれど、フランスに来た時に早速インタビューされてフランス語で答えている場面があった。
「完全なフランス語ですね」
と言われ、過去にパリに留学していた、とフランス語で答えている。
エコール・ド・ルーブルの他にソルボンヌで比較文学を専攻していたと。
私がフランスに来て真っ先に登録したのもエコール・ド・ルーブル(ルーブル美術館内でスライドを使った講義があった。学生証で、すべての公立美術館が無料になった)とソルボンヌだったので、親近感を覚えた。
その後でケネディ大統領が、これは英語だけれど、やはりテレビで自己紹介する場面で、「私はジャクリーン・ケネディをパリまでエスコートしてきた者です」と言って笑いを誘っていた。
なるほど。
番組はその後、パリに来たトランプとマクロンの映像を映して、マッチョな自己主張にエレガンスはかけらもない、と匂わせていた。
その前には、1990年代に、狂牛病スキャンダルが最高潮だった時に、ロンドンを訪問したシラク大統領が、狂牛病の発生源だと言われていたイギリス産の牛肉を食べるかどうか、と注目されていた映像が流された。
食べるか、食べないか、緊張の面持ちでメディアが見守る中で、シラク大統領は出されたヒレステーキを食べたようで、翌日にはロンドンの新聞の第一面に、フランス大統領が牛肉を食べた、とでかでかと載った。
外交関係における「食事」は大きな意味を持つのはあのタレランも強調していたが、アメリカやイギリスの食文化を揶揄するのが伝統だったフランスの大統領があの時代にイギリスの牛肉を食べたのは政治的判断だったわけだ。私はその頃には既にフランスにいて「狂牛病」パニックを覚えているけれど、シラクのエピソードは覚えていない。イギリスでの関心事だったようだ。
ハンバーガーしか食べない、ようなイメージのトランプ大統領の時にも困ったようで、ローストポークを出したというシェフが話していた。
外交を振り返ることで「フレンチ・エレガンス」の変遷を見るのも興味深い。