いつでも一番、ああ、ルーブルに帰ってきたと思えるのはやはりサモトラケのニケ。
腕も頭もないけれど、翼の存在感と脚の力がいっそう迫ってくる。

今回ははじめて土台の部分に強い印象を受ける。

紀元前1世紀頃から5世紀ごろののイタリアの彫刻群のギャラリーは壮観だ。ギリシャの模刻もあるだろうし、何度も修復を重ねられているので、どれも立派で堂々としている。いくつかピックアップして紹介。
これはイオニア式柱の間で祈る女性。大理石の色使いがおもしろい。といっても頭部と胴体は別の時代のようだ。

これは、紀元前4世紀頃の老漁夫の像らしいが、その後、修復を重ねて、「セネカの死」と呼ばれた。セネカはソクラテスのように自殺を命じられて死んだ。黒大理石の迫力。


これはなんとなくロダンのカレーの市民の群像を思い出させる。アテネのディオニソス劇場の装飾であった像を修復して泉の真ん中の噴水壺を支える装飾にされていたらしい。サタイア(サチュロス)はバッカスに随行する半身半獣だが、俯いた表情が印象的だ。


以前は考えたこともなかったのに、今回はじめて思ったのは、これらイタリア美術や古代美術の収集品、こうしてフランスにあるのは、今なら、キャンセルカルチャーで、元の国に返却しろとか言われそうだなあという感慨だ。実際、ケ・ブランリー美術館の、収蔵物は今も旧植民地に返還されたりしている。ナポレオンによる収集もあった。
結構複雑な気分もする。でもこうして、人々が修復しながらつないできた作品群が一堂に介しているのを見ることの贅沢には感謝だ。
(続く: 予定稿がすでにうまっているので、ルーブルの続きはだいぶ先にアップされます)