4/24、これから5年間のフランス大統領が選出された。
予想通りマクロンの再選。
首相とのねじれ無しで二期務めたのはマクロンが初めてだが、6月の総選挙でマクロン政党LREMが過半数を維持できなければねじれや連立政権もあり得る。
第一回投票で三位につけたメランションなど、過半数をとれば自分が首相だと息巻いていた。
シャン・ド・マルスでのマクロンの演説は、自分はもう党派の候補者ではなくて全てのフランス人の大統領だ、という正論を吐いて、マリーヌ・ペン支持者へのリスペクトを訴えていた。今度の選挙は、実質上、親EUかフランス主権下の国民投票のようなものだったから、コロナ危機やウクライナ危機がEUを必要とした時宜に支えられてマクロン優位になったのは不思議ではない。
でも、まさかと思ったBREXIT、まさかと思ったトランプの当選、と最近「西洋」のトラウマが続いたので、慎重論もあったのは悪くない。
前回の66%対34%に対して今回は58%対42%と、ルペンは「躍進」を強調し総選挙への意欲を見せたが、予想では51対49の接戦も言われていたし、「討論」の後では55対45とマクロン優位になり、それがさらに広がったということで、まあ、安泰ということだ。フランスが6月末までEU委員会議長国になっているのももちろんマクロンに有利だった。
とはいえ、マクロンはブチャの虐殺事件以来、プーチンと連絡をとらなくなり、はじめはウクライナに防衛装備だけ提供していたフランスが新型戦車を提供するようになった矢先だ。
思えば、5年前の討論ではルペンがオランド政権にいたマクロンへの批判、攻撃ばかりして自分の明確なビジョンを展開せずに完敗していたが、今回はまったく逆だった。マクロンがこの5年間のルペンの行動を細かく批判して見せ、ルペン女史の方は、マクロンとマッキンセーとの癒着などにはほぼ触れないまま、自分のビジョンだけ展開した。今回の方がマクロンのいろいろなスキャンダルを叩く材料はあったのに。
マクロンが形だけでも、ドイツとの平和を構築したEUの意義を強調し、フランスのユニヴァーサリズムを称揚したのはまあ救いがあった。
アメリカ主導のグローバリズムとのずぶずぶな関係を封印する知恵はまだ健在だったわけだ。しかし、軍事志向、原子力志向は隠すわけでもないし、マクロンと拮抗できるまともな中道右派や中道左派の消滅ぶりには愕然とする。
思えば、ジスカールデスタンのフランス以来、もう何度も大統領選を目撃してきた。三選は認められないマクロンや次回は出馬しないとするルペン女史のいない次の大統領選やそのまた次を目撃することが可能かどうか、という年齢になりつつある。
歴史は繰り返すなどと言うが、「想定外」に翻弄されるのも実感だ。
これからどうなるか予想はしにくいが、とりあえず、いろいろな意味で「安全圏」で生きていけていることに感謝しつつ、自分に何ができるかを考え続けていきたい。