Q : そういう土壌の上にナチズムやコミュニズムが力を持つようになったのですね。
A : ええ、「神の摂理主義」が消えていった後には大きな空洞が残りました。
リスボンで起こる地震でも塹壕の中の虐殺でもなんでも説明してくれる「神」がいなくなったら、誰がそれを説明してくれるのか、どうしてそれらは起こるのか。
そこに登場したのが、哲学者レイモン・アロンが「世俗宗教」と呼んだものです。19世紀に置き去りにされていた数々の問題、アイデンティティや人生の意味、共同体、個人の運命の行きつくところ、などが再び取り上げられて20 世紀の政治信条を作り上げました。以前は神父や牧師やラビたちに任されていたテーマです。
Sekko : フランスで革命の後の人権宣言のようにキリスト教普遍主義が共和国主義に置き換えられていたのだけれど、ガリア教会の力は強く、何度も揺り返しがあって、20世紀初頭にようやく共和国的政教分離が確立した。第一次世界大戦が一時的に宗教心を高揚させて、ジャンヌダルクがカトリックの聖人になるとともにフランスナショナリズムの旗印ともなった。
(続く)