Q : これらの新しいストーリーは、イデオロギーや教義ではなく「宗教」と呼べるのでしょうか?
A : これらの新しいストーリーを理解するには「教義」では不十分です。イデオロギーも同様です。イデオロギーという言葉は軽侮のニュアンスも持っています。イデオロギーはいつも「他者のイデオロギー」です。しかもそれは意識の表層にしか関わらないものですが、ナチズムやコミュニズムは、生者と死者の関係にまで踏み込む宗教的次元を含む政治文化でした。非常に強力なものです。
たとえばコミュニズムは、スターリン主義においては明らかに宗教的終末論でした。
ナチズムに至っては宗教そのものです。ナチスはゲルマン民族の起こりのすばらしさにまで踏み込んでいるのです。彼らの運命は幸福の千年紀にあるとして、新しい「聖性」を作り、古代の暦に回帰しようとしました。
ナチズムとは歴史の完全な新解釈なのです。彼らによると実はゲルマン世界であった古代ローマから、30年戦争、革命戦争、帝国時代、第一次世界大戦、ワイマール共和国のハイパーインフレまで、すべての歴史を書き換えました。
Sekko : そもそもロシア文化のベースには終末の待望があるという。(今の政治状況を見ているとなんだか怖い。)私が最近読んだのは
これ。
ナチスによるゲルマン暦も、戦中の日本の皇紀二千六百年などを思い出させる。
新しい暦を一から立ち上げたフランス革命暦はまったく別の発想だったが長く続かなかった。新体制は「神話」を必要とする。