モントリオールの洗礼者ヨハネ教会で、信徒の1人がおばあさまの考案したというカード遊びを売っていた。家族や知り合い、年齢がばらばらでも楽しく遊べるというもので、一人一人がカードに従って2分以内で話し、他の人はただ耳を傾けるというものだ。少し試してみたけれど、本当に五歳の子供から祖父母の年代までわくわくして参加するような、なかなかすぐれものだ。大人同士でも心理セラピー的な意味も出てくると思うけれど、子供が無邪気に参加するからこそ大人も本音をだすことになる。

私にとっての夢の庭を想像して話す。私が実現したことで誇りに思うことは何か。
私が飼いならしてしまいたい動物について話す。最近、ここにいてくれたら嬉しいなと思う人について。
etc、etc…。(直訳するとむずかしい漢語も出てくるけれど、フランス語だと子供にも分かるものばかり)
私が最初に引いたカードは「子供の頃にしたいたずら(馬鹿なこと)を話す」というもので、正直困った。思い出せない、兄とけんかして叱られたとか、幼稚園でもらったプリントを渡すのを忘れて叱られたとか、都合の悪いものを隠したとか嘘をついたとか何かを失敗したなどは思い出せるけれど、いわゆる「いたずら」は思い浮かべられなかった。何か抑圧しているものでもあるかと少し考えてみたけれど思いつかない。兄とのけんか以外で母に叱られたことが2度あることを話してお茶を濁した。
その次に引いたカードが「歴史上の人物の誰と会いたいか」というものだった。
これにはなぜかすんなり答えられた。ちょうど、パリでユダヤ人が大量に連行された1942年7/16-17という歴史的な日から80年記念だったからだ。
私の答えは「ペタン元帥」。
第一次大戦のヒーローが、もう高齢であったのに自由フランスの総裁に任命されたことの苦渋やユダヤ人ホロコーストについてインタビューしたいからだ。ドイツ占領下のフランスが自主的にフランス国籍を持つユダヤ人狩りに協力したという黒歴史は、ペタン元帥のヴィシー政権のコラボと合わせていつも語られる。でも、パリはドイツ軍の占領下にあり、ユダヤ人逮捕の命令を出したのはドイツ軍の将軍だったことも分かっている。ヴィシー政権のペタンが何かをできるような状況ではなかった。ペタンはドゴール将軍とも話し合っている。それなのに、戦後は、ドゴールが救国の英雄になったというのはいいとしても、ペタンがスケープゴートのようになったことは否めない。戦中戦後に彼が本当に何をしたか、何を強いられたか、何を考えていたのかをぜひ直接聞いてみたい。
私がそういうと、そこにいた10歳の子供が「それならヒットラーに会えば?」と言った。私は「ドイツ語に今一つ自信がないから無理」と答えた。
「飼いならしたい動物」のカードも当たった。私の答えは、オオカミで、オオカミを完全に私の腹心の友にするというもの。子供の頃の愛読書はジャック・ロンドンの『白い牙』で、それが頭にあったらしい。
意外な質問に対して自分でも意外な答えが出てくるのが興味深い。現実世界では猫の飼いならしで手いっぱいなのに。