これを書いているのはまだ9月初めだけれど、この予約投稿が出る時には安倍元首相の「国葬儀」がもうすぐという頃だろうか。
今の時点で日本のネットを見ていると、国費予算が何十億とか警備を入れるとさらに増えるとか、国会の審議も経ずに「血税」をつぎ込むとは何事か、といった批判がたくさん出ている。国会の過半数を与党が占めているのだから変わらないという気もするけれど。
それにしても、この何十億とか何百、何千億とかいう数字はもう(少なくとも私にとっては)何の現実感もない。去年は、皇族の結婚で批判された内親王が1億円の一時金を辞退したとか何とかでやはりネットで大騒ぎしていて、その時も「血税が」という言葉が使われていた。
フランスでは、国会で過半数を取れなかったマクロンがまた「我々は戦争だ」と言い出して、この冬のエネルギー消費の節約を熱弁した。それなのに、パリのサッカーチームのスターは月に何十回もプライベートジェット機を使っているとか、マクロン自身もバカンスで海上ジェットスキーを楽しんでいた、とかさんざん叩かれている。サッカーのスター選手は子供や若者の憧れだから、倹約の模範を示さないと困るとも言われる。
でも、サッカーのスター選手の報酬などは庶民にとっては天文学的というか、やはり何の実感もない。
すると、日本の政治系ブログで、日本のコロナ関連の予備費が14兆8000億円だったというのを読んだ(コロナ前までは毎年5000億円程度とか)。で、コロナ対策に名を借りた地方創生臨時交付金が2年間で14万569件の申請があり、全て認可されたというのだけれど、北海道湧別町の着ぐるみキャラ制作に200万、長崎、町幹部専用車としてアルファード購入費で385万、群馬、恐竜が見られるアプリに1787万円、石川県能登町イカキング2500万円など総額3兆8700億円が使われたそうだ。(医療機関向けのコロナ対策予備費は5兆4000億円で、こちらは、ビジネスホテルでもコロナ療養者を受け入れれば、全部の客室が満額で支払って貰えるし、電気工事もして貰えるとか、今や有名な空床補償補助金では都内のコロナ病床40床クラスの病院などは半年で11億8000万円の空床補償がおりたとか、ワクチン接種に駆り出された医療者は時給2万2500円(1日8時間勤務すると日給18万円)というのもあった。
こういうのを読んでいると、政治と関係なく、1億とか数十億とかで騒ぐのって何だろう、と思ってしまう。フランスは県知事などは選挙で選ばれるのでなく中央からの派遣だし、コロナの予備費は特に中小企業やらアーティストやらへの支援金という意識があったから、「イカキング」(ネーミングがおもしろいので検索して驚いた。十分な経済効果が見込まれるとか書いてあった)など、なんだか信じられない。でも、2500万円なんて、なるほど大したことはないのだろうな、などと感覚が麻痺してくる。いろいろな「汚職」や「接待」や「献金」などの額だって、知ってしまえば何という不正とか思うけれど、中にいる人にとってははした金なのかもしれない。そういえば、黒人の命の重さを訴えるBLM運動でも、リーダーが何億円もの寄付金を私的に使ったということで他のBLMグループから告訴されているという話も聞いた。政府であろうとなかろうと、権力者のいるところでは私欲私利が億という規模を動かす。
それにしても、9月初めの時点で、コロナの検査や隔離を緩和するといいながら、日本は観光地でもみなマスク姿の写真だし、フランスは、毎日のウクライナ戦況と、冬に向けて暖房は19度に設定して、とか、パニックを煽るような報道が多いし、このまま核戦争になると世界の終わりかとも思えるのに、一方では「イカキング」だとか、グローバル世界の情報の「多さ」と「偏り」の中で、ミクロな世界での人々の喜怒哀楽とが分裂しまくっている。