この頃、登場人物の身元がはっきりしている夢を見ることが多い。
日本人の知人たちの時は日本語で話しているし、フランス人の知人や友人はもちろんフランス語で話している。昔は荒唐無稽なストーリーの「配役」として登場していたけれど、今は、リアルな設定であれこれ話が進む。
ところが、初夢に近い年始の夢に、ついにゼレンスキー大統領が登場した。
日本ではそうでもないと思うけれど、フランスではほぼ毎日彼のメッセージが流れる。
マクロン大統領は別に公式発言を毎日するわけではないからそうインパクトがない。
でもゼレンスキーは連日、公式に、「ロシア戦の報告」と国民の志気を高める言葉を発している。こちらも一日一度はウクライナ情勢を知りたくなるのでニュースチャンネルを見ると必ず彼の顔が映る。バイデン大統領と会った時などだけでなく、彼の毎日の発言の裏にあるメッセージを皆が探ろうとして、あれこれ分析している。物価高や燃料危機は深刻だから、この戦争の「出口」をみんな知りたい。
最初の頃は、ロシア語話者をもウクライナ国民として団結させる話術に関心もした。
プーチンに比べて、コミュニケーション能力は高く、大国を前に決してあきらめない断固とした姿勢は「判官びいき」というか、好感度もあった。
しかしあまりにも続くと、なんだか「濃すぎる」とうんざりして、そろそろやり過ぎでは? 逆効果では? と思えてきた。クリミアの橋やポーランドへのミサイルなどぼかされているものも多いし、所詮はプロパガンダだし、と。
それでも、極寒の季節を迎え、インフラ攻撃を受け続けるウクライナの様子を見ると、同情の念が起こる。フランスでは、物価高だのなんだの言っても、サッカーのワールドカップでも盛り上がるし、クリスマスにはパーティ三昧だし、大晦日のシャンゼリゼには百万人もの人が(マスクもせずに)ひしめきあってカウントダウンにづく花火を見ているし、しかも記録的な暖冬。
他にもエチオピアでもミャンマーでも、アフガニスタンでもお祭りどころではない場所がたくさんあるのに、地理的な遠近や歴史・外交問題を別にしても、「ゼレンスキーがいない」国の悲劇は伝わりにくい。
で、とうとう、私の夢にまでゼレンスキーが登場。
いつもフランス語の同時通訳で聞いているので夢でもフランス語だった。
いつもの服、いつもの表情、いつもの表現力、どういうシチュエーションで何をどう言ったのか起きたら忘れていたけれど、もうすぐ一年近くになるゼレンスキー劇場が無意識のトラウマになっている人は私だけではないだろうな、と思った。
ブッシュ(息子)やサルコジの時代も食傷気味だったけれど、さすがに夢には出てこなかった(少なくとも記憶にはない)。
フランスにはウクライナ人もバルト三国の人もロシア人もジャーナリストや軍人を含めてたくさんいるから戦況の分析や見通しを視聴するのは欠かせないのだけれど、彼らの頭にもゼレンスキーのインパクトが刻印されているのだうな。