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L'art de croire             竹下節子ブログ

宗教二世について考えていたら…

カルトや新興宗教における「宗教二世」の問題について考えていた。

親がのめりこんで法外な献金などで家庭を崩壊させるものや、必ず子供を連れて勧誘の戸別訪問をするもの、子供の教育において罪悪感を植えつけるものなどいろいろなタイプのものがある。
エホバの証人の家庭に育った同性愛者が母親から「同性愛を選ぶくらいなら殺人の方がまし」と言われた例を知っている。殺人なら一時の気の迷いということもあり得て償いの道があっても、同性愛は自分で選んで神に背くのだから地獄堕ちだと恐れているのだ。
フランスにサン・ルイというカトリック教会に列聖された王がいる。
ルイ九世で、十字軍に二度も加わってカルタゴで客死するなど、カトリックの「敵」の征伐はOKなんですか?という面もあるが、そうやって二度も国を離れても国内が円滑に回るほど、敬虔で謙遜な努力によって政治や社会の安定を実現した人でもある。
で、彼の母親がブランシュ・ド・カスティーユという敬虔なカトリック信者で、息子に向かって「あなたが(カトリックで死に値すると言われる)大罪の状態にあるのを見るくらいなら死んだあなたを見る方がましです」という言葉を残している。

こういういわば「モラハラ」が実の親、特に母親からなされた場合、そこから逃げるか、トラウマを抱えたまま生きるか、模範的信者か聖人になるか、時代と社会と個人の資質によっていろいろだろけれど、今のカトリック教会は試行錯誤の結果、まあ納得できるシステムを作っている。
つまり幼児洗礼は2歳未満で親が頼んで受けさせるけれど、その後は7歳以降で公教要理(カテキズム)を1 年学んで、いわゆる「初聖体」を受けて宗教共同体に加わりたいかどうかの意志を確かめる、というのが基本だ。2 歳から7歳の子供には「教え」がない。
そうはいっても、8 歳の子供の自由意志を尊重など本当にできるのかと言われそうだけれど、七五三のようなもので一種の通過儀礼だった。フランスのような国ではその後の11歳での聖体拝領儀式が長い間家族のお祭りになっていた。そして、大半は、それっきり、ということになる。
でも、まあ、そういう感受性が強く柔軟な時期に、謙遜だとか自己犠牲だとか、利他だとか感謝だとか慈善だとかを一応教えられた方が、弱肉強食だとか欲望の肥大、あらゆる市場の誘惑にさらされるだけよりもはるかにいいかもしれない。

カトリックの聖職者が独身を誓わなければいけないシステムも、だから不健康だとか、志望者がどんどんいなくなるとか、世間しらずのままでいるとか、いろいろ批判をされることもあるけれど、血を分けた「聖職者二世」みたいなのを作らないというのはいいシステムかもしれない。プロテスタントの牧師家庭で育った子供が学校で差別的な目で見られた、というケースが日本にある。「お寺の子」が差別されたのを見たことがないから、やはりマイノリティかどうかの問題かもしれないけれど、一般的に特定宗教の僧職や司祭職の家庭で生まれ育った子供は、普通の「信者二世」とはまた違うプレッシャーなどがあるだろう。親の後を継ぐという問題もある。

変な話だけれど、世界の王族や独裁者たちも、後継ぎの二世を常に必要としてきた。
本来「民主主義人民共和国」であるはずの北朝鮮のトップが金王朝などと言われる世襲制になっているように、「独裁者」「権力者」は血を分けた子供に権力を踏襲させようとする。「男子」がいる場合はなおさらだ。
中国は一人っ子政策の成果、習近平には一人娘しかいない。もし一人息子だったら、時期の「国家主席」にすでに息子を指名していたかも、と思ってしまう。そういえば、プーチンも、正式の妻たちとの間の子供はたくさんいるのにみな娘だ。事実婚の女性との間には男の子がいるというが、60歳過ぎての子供なので、政治的な見通しは立てにくいだろう。
独裁者でなくても、政治家が自分の息子(娘の場合もあるが)や孫に選挙の地盤を継がそうという例はいくらでもある。

だれでも、人の親となったら、複雑な世界を前にして子供が自分で考え、自分の意志で自分の人生の道を歩めるように教育したいものだ。そのうえで、たとえ長きにわたる判断の過ちがあったとしても、それを是正し、失敗や挫折や後悔も「糧」として生きていくようアドバイスする。そのためには、親自身がそのように生きる必要がある。血を分ける子供がいてもいなくても、次の世代のために、そういう人生観をつないでいくのは簡単なことではないのだろうが価値があると思いたい。




by mariastella | 2023-01-28 00:05 | 宗教
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竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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