1/22、予定通り、パリ大学都市の日本館で師井公二さんとのコラボでコンサート。
日本とフランス、主題と変奏、というのがテーマだったので、藤田嗣治の「西洋人の日本上陸」のフレスコ画が印象的なホールの「場」の力に支えられた手応えを感じるひと時になった。ホールの暖房を入れたのが一時間前だったので、なかなか温まらず、手は冷たかったけれど、昔、ノルマンディに近いもっと冷たい教会で録音したこともあるのでまあ何とかなった。
私の主催するアソシエーション内や師井さんの展示会などを別にしたら、パリで「東洋風」の場所でしたコンサートは、2015年の仏教祭でヴァンセンヌのパゴダの巨大な金ぴか仏陀の前での演奏以来だ。
今回は、2017年に岡山で初演した田村洋さんのオリエンタルダンス3部作の全部をフランスで初めて弾いた。(第2曲目は何度か弾いていた。)
今回初めて日本の曲を第二部に入れたのは、2020年にコロナ禍でキャンセルになった沖縄公演のアンコール曲として編曲していた『涙そうそう』のカバー曲を2021年に2度披露した時に、師井さんに気に入ってもらったからだ。
台湾の方にも気に入ってもらったのだけれど、今回は中国の春節と重なったので、聴きに来てもらえなかった。
他にも、絶対に来てほしかった友人が朝から急病でベッドから動けなかったり、もうひとりの友人はなんと日付を間違えて前日に来て訳が分からぬまま私に連絡もしてこなかった。月曜に会った時も、日付の間違いに気づくまで10分くらいは謎に包まれていた。
それでも、聴いていただいた方には、日本館の独特の雰囲気と歴史、フランスバロックと日本の古い曲、近代曲のバロック・アレンジ、そして私たちトリオのために作曲された現代曲などで構成された出会いを楽しんでもらえたようで嬉しい。
フランスは年金改革で、デモやストが相次いでいる。そのせいでキャンセルになる催し物もある。そのはざまでこのコンサートを実現できてよかった。
今年は私たちの最初の日本公演からちょうど20年。その時助成金をくれたのが笹川日仏財団で、日本館も同じ財団の助成を受けていると知ってご縁を感じた。(20年前、京都の法然院での第1回コンサートをアレンジしてくれたアーカイブ・ジャパンの中村暁さんが3年前に亡くなったのを最近知ったので、私たちの中では、中村さんを追悼するコンサートでもあった。)
何十年も分析し、掘り下げ続け、常に新しい発見のあるレパートリーを持つことは幸せだ。
私たちトリオの歩みについては、今秋刊行予定の『日本とフランス相愛の秘密(仮題)』の後半、「実践編」に書いたので、ぜひ分かち合えたらと願っている。