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L'art de croire             竹下節子ブログ

告解ブースと占いブース

2/22から四旬節に入っている。

復活祭前のいわば「忌み」の期間、自粛期間みたいなものだけれど、イスラム教のラマダンと違って、集団的ではないし、むしろ、人に見せびらかすようなのは傲慢で偽善だ、何より大切なのは規則や形でなく、「愛」の実践というのが本来のキリスト教。

で、ローマ・カトリックでは、この四旬節の期間に一度は告解をして免償も受けて、いわば「清く」なって復活祭を迎えて心機一転再スタートというリズムが定着していた。
肉を食べないとか様々な細かい規定はどんどんシンプルになってきたし、告解も司祭と一対一でというかわりに全員でメアクルパを唱えてなんとなく、という形で済ませる人もいる。でも、この、年に一度以上の告解する人は、1952年にはカトリックの51%、1974年には29%、1983年には14%と減っている。21世紀の統計は知らないけれど、洗礼を受けている人で毎日曜のミサに出る人は10%以下というから、告解する人はごく少数派なのだろう。
で、カトリックのフランス人の町の声は

「復活祭の前の伝統としても必要」
「告解してすっきりするのは精神衛生にいい」
「意味がない、時代遅れ」
「罪悪感を無理に目覚めさせるのはいかがなものか」

などなど。

私はたまに「告解」するしそのレポートも書いてきたけれど、その一番の動機付けは「好奇心」だった。
宗教システムへの好奇心ではなくて、このような使命を負わされている告解司祭の心理とか、その場には権力勾配が生まれるのかとか、「聖霊の働き」をどのように言語化するのか、とか、もう、スピリチュアルなものに接近する人間の心理や、「場」や「気」の力や、それが何を産むのか、信仰や宗教とどういう関係に入るのか、など、知りたいことがいっぱいだ。

私の「罪」はシンプルで、毎週教会に通うという信者ではないこと、特に罪だと思うことが頭に浮かばないことがひょっとして「傲慢の罪」に当たるかも、くらいだ。

で、これまでに「告解」ブースや対面で受け入れてくれた数々の司祭さんについては、フランスでは皆さんすべて親切だった。お話がどんどんはずんで「免償」も忘れられたこともある。
最初はもっとレポートしようとしたけれど、司祭の方には秘匿義務があるのに私が一方的に書くのは公正ではないと思ってやめた。

日本では一度だけ。
さすが日本だから、毎週のミサに出ていない、という最初のところでもう説教たらたら、面識のない老司祭だったが、このことを彼の「上司」に話したら、慰めてくれた。

考えてみたら占いブースも同じで、私はやはり占い師の生い立ちやら、客との関係に興味があるので、それにいらつくひともいる。ひどくなると、たずねてもいないのに、「あなたは近いうちに事故に遭う」的なことを堂々と言って、そういわれたらやはり気になるからどうしたら避けられるかというと、追加料金で特別の祈りを、とくる。そう言われたら逆にシンプルで「この詐欺師め」と思うのだけれど、やはり気分が悪いので、どこの誰にこういわれたと言うことを別の占い師に相談して全否定しもらうことにしている。「非合理」な脅しからは合理的には完全に開放されない。やはり同じ「非合理」の地平で否定してもらってはじめて安心できる。

告解の方は「無料」であり、「地獄に堕ちる」などとは絶対に言われない。赦しと救いとが基本だし、告解司祭も自分自身に「能力」があるわけではなくすべては聖霊の働きだと認めている。心理学的なアプローチも心得ている人が多い。

宗教者が自分の超能力を誇示したり支配関係を作ったりするならそれはカルトだ。
金銭を要求するならなおさらだ。
匿名のまま一回いくらの関係の占い師の方が健全だと思う。

相談者の「匿名性」というものが、何か本質的な識別に役立つ気がする。


by mariastella | 2023-03-04 00:05 | 宗教
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竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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