時事ついでに。
年金支給開始の年齢引き上げにまつわる強硬策を取り下げさせたいと続くデモに、強いアンチ・マクロンが加わって、過激グループも台頭するフランス、24日に予定されていた英国のチャールズ三世初の渡航先となるパリとボルドー訪問が延期された。こういう時期にヴェルサイユで宴席など、通りを埋める民衆に王制打倒の革命マインドを刺激するばかりだからだ。で、結局、チャールズ三世はパリの後の訪問先だったベルリン訪問を「国王として初の訪問」にすることにした。
フランス人は革命だけでなく、これまでも年金改革などをチャラにした成功体験があるから、やる気満々なのだけれど、今回はマクロンの「中道主義」のせいで、まともな「野党」がなくて、いわゆる極右と極左が手を組むような雰囲気なので、再選されて一年にも満たないマクロンをここで打ちのめすのはリスクが大きすぎると考える人も多い。
大規模ストのあった3/23の翌日、2024年のサッカー欧州選手権の予備戦の第一線があった。フランス・スタジアムでオランダとの対戦だ。キリアン・エムバペがキャプテンになってはじめての対戦だった。サッカーファンのマクロンは非公式の観戦を楽しみにしていたそうだが、今や国を挙げての反マクロン運動の前にキャンセルしたらしい。結果は、エムバペのシュートも含む4-0でフランスの勝利。それでも、試合の49分3秒の時点で、多くの人が客席から「マクロン、辞任」というシュプレヒコールが聞こえた。議会の採決を経ずに強行に年金法案を通すことができる根拠となった憲法(1958年の第五共和制憲法)の49条3項を意味した抗議表明を呼びかけた左派のフランソワ・リュファンに応えたものだ。
ローマ帝国で民衆を懐柔する「パンとサーカス」というのは有名だけれど、さすがフランスというか、サッカーのスタジアムでもしっかり政府に抗議。
日本では、WBCで、「侍ジャパン」のような今では何となくはばかられるようなネーミングも平気で、あっさりと「列島歓喜」に沸いている様子だったから、その差に愕然とする。
目を転じれば、あのサウジとイランが中国の肝いりで4月末の本格的国交回復に向かっていることには驚いた。
先の地震で6千人以上の死者を出したシリアも、その救援などをきっかけにして再びアラブ連合に返り咲きそうだ。
それにしても、もう20年以上もアサド政権(彼の父親も30年に渡る長期政権だった)が続いたままというのは、アラブの春以来の危機に次ぐ危機を思うと、すごい。独裁者には強靭な意志と肉体が必要で、いわゆる西側メディアのバイアス抜きで見ると、アサド大統領のカリスマ性と一種の知的エレガンスというのは印象的だ。
どの「危機」においても実際に真っ先に犠牲になるのは少数者や弱者ばかりだという現実を別にすると、トップの「姿かたち」の意味を比較するのは興味深い。
その点、前にも書いたかもしれないが、「見た目」だけ言うと、中国の習近平は体格がいいけれど威圧的ではなく外交の場では笑みをたたえていて「大人」の風格で得をしているが、中国史の専門家によるとああいう風貌が一番危険なんだそうだ。
これからの世界の新しい勢力地図、どうなっていくのだろう。