コロナ禍中の美術館閉鎖などの後、パリの美術館や展覧会などには、招待されたものを除いてほとんど行っていなかったのだが、ジェルメーヌ・リシエの回顧展がポンピドーセンターであると知ってから、これは万難を排しても行こうと思った。
五月晴れのある日、どきどきしながら電車に乗る。
いつも乗っている電車なのに、何もかも新鮮に見える。電車の中の写真がトリックアートに見えてきた。

メトロの駅の広告も、おお、私の知らないところでこんなにたくさんの文化イベントがあるんだなあ、と感慨を誘う。(いつもは見ても見ぬふり。暇がないし、とスルー。)
懐かしの建物。何度も改修されたけれど、この秋から2027年まで大規模改修のため閉鎖されるとことになっている。その意味でも今行っておかないと。
正面にリシエのアトリエの写真が。
早く着き過ぎたので、広場の向かいにあるアートショップ風のところに入る。
私のコレクションにもあるスペイン製のモザイクの猫などもあった。

ダビデ像のパロディ。ぴったりだ。
好みの小物がたくさんあって、つい買いたくなるけれど、荷物になるとじゃまだから、リシエ展を観た後でまた寄ろうと思って誘惑を斥けた。
でも、実際は、リシエ展、その後での近現代アート常設展示を観た後では、もう1ミリも購買欲はなくなっていた。「本物」と「消費財」、「売り物」との間には無限の距離がある。
(続く)
ついでにお知らせ。7/13に『キリスト教入門』が再刊されます。
実はこの本をメチエから出した時よりも、世界の状況ははるかに悪くなり、キリスト教の基本を知ることの意味はさらに深くなったと思います。宗旨に関わらず、宗教音痴、無関心は、リスク大です。愛と平和を唱えたことで既成の宗教権力や政治権力によってあっさり殺されてしまったイエスから始まり、今や非難の的にもなっている「西洋」のベースになった宗教の本質を探るツールとしてどうぞ。