ポルノクラシーというのは、カトリック史では暗黒の世紀と呼ばれる888年から1046年までを指す言葉で、12代にわたるローマ教皇の政治の決定は彼らの愛人によって左右されていたという時代だ。
「デモクラシー」は民衆による政治決定、「オートクラシー」が独裁、で、ポルノとは何かというと、元はギリシャ語で娼婦、売春婦を意味する。
もっともギリシャ語にはporneの他にhétaïreというのがあって、前者は主として下流階級の女性が金銭と引き換えに体を売る商行為、後者は権力者などに取り入って贈り物や便宜を獲得する女性だそうだから、教皇のそばにいたのはそちらの意味に近い気もするけれど。
で、日本でも普通に使われているポルノの語源であるポルノグラフィーとは啓蒙の世紀のフランスで作られた言葉なのだそうだ。日本でいう「春画」のように性行為を絵にしたものという意味だ。すでに「娼婦」の意味は消えていたと思うけれど、ポルノの製作やら販売が「商行為」となり、消費されていくという意味では、元のギリシャ語に似ていなくもない。
日本の「マンガmanga」という言葉はもう完全にフランス語として定着しているけれど、「春画」は一般化されず、ポルノの方が世界を席巻しているようなのは、なんだかなあ、と思う。
カトリック教会の名誉のために言っておくと、そういう暗黒の時代にクリュニー修道会による刷新運動が生まれ、グレゴリウス七世による大改革につながった。その後のアッシジのフランシスコなどもそうだが、ローマの中央権力とは関係なく、市井でキリスト教精神を生きていく修道会やその改革が、常にカトリック世界を刷新していくことになる。
一粒の種が地に落ちてこそ実をむすぶというやつで、初心に返り、本質を見失うことなく、過ちがあれば正していく、ということの大切さを、すべての物事に関して思う。