岩山のサン・ミッシェル ル・ピュイ巡礼 その4

ホテルの朝食。ビュッフェ形式なんて昔はなかったのに、今はすっかりスタンダードになった。

壁一面の本が装飾。
さあ、岩山登頂に出発。春に行った日本の観音正寺や長命寺ではのぼり階段の途中までタクシーで行けたけれど、ここには岩山だけがぽつんとあって、もちろんエレベーターなどもない。そう、起伏の多い町なのに、ここだけは低地で平地になっていて岩山だけが突出しているのだ。海底火山が爆発して陸地になりそれが沈んで、上の突起だけが残った。(入り口にその解説モデルがある)ここが火山地帯であるということは、ロワール以北のフランス人を魅惑する。そういえば、私も火山砂入りで垢を落とすという石鹸をおみやげに買った。ブドウの種オイルと蜜蠟も入っているという。まずは、岩山に向かうのだが、カテドラル側には上り坂なのに、反対側へはどんどん降りていくことが意外だった。普通の住宅街からサンミッシェル聖堂だけが屹立しているのが見える。951年にサンチアゴ・デ・コンポステラの巡礼から戻ったル・ピュイの司祭が岩山の上にチャペルを築くと決めて、10年後に完成して多くの人を集めた。フランス革命の後、忘れ去られていたけれど、岩山のてっぺんだから革命の暴徒によって破壊されたり略奪されたりすることもなかった。1942年から息を吹き返すことになる。近づいていくとノートルダム・ド・フランスがはるか高くに見える。ようやく岩山の入り口に。
少し上った途中にミッシェルではなく大天使ガブリエルのチャペルがあった。
ガブリエルはマリアに神の子の受胎を告げた天使だからお告げのシーンが。
昔はもう一人の大天使ラファエルのチャペルも途中にあったらしい。祈りの文句が書いてある。
らせん状に上るので景色の変化が楽しめる。ノートルダム・ド・フランスが見えてきた。SURSUM CORDA!Elevons nos coeurs!
心を高めよう!　というのがここのモットーらしい。宗教者には山にこもる人や山登りが好きな人がけっこう多い。空の彼方はどこまで続くか分からない。永遠とか無限を感じさせてくれるし、重力の抵抗と戦いながら進むことでテンションも高まる。
ノートルダム・ド・フランスの向こうにはカテドラルの鐘楼が見えている。この岩山と並んでル・ピュイの三つのシンボルだ。
Esplay-saint-Marcelにある聖ヨセフ像 (Saint Josephe de Bon espoir )もはるか彼方に見えている。イエスの母と養父は遠く視線を交わしているのだろうか。

ステンドグラスの影がきれいだ。
ドラゴンを組み敷く大天使

この木の十字架は、ロマネスク時代の典礼用品で1955年に見つかったものだという。

大天使サン・ミッシェル

くるくるらせん状に回りながら登り、だんだんと狭くなり、視界だけはどんどん開けていくというのは不思議な感覚だ。ここが海底火山揺らいで残った最長部なんだなあという感慨もある。ル・ピュイは宗教に興味のない人でも楽しめる抜群のロケーションだ。　　　(続く)