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L'art de croire             竹下節子ブログ

クロザティエ博物館 ル・ピュイ紀行  その6

コレクションの充実で有名なクロザティエ博物館に行く。
でも、入ってまず目を引かれたのは美術品ではなく、この謎のオブジェ。
足を踏んで、鼻の下に手をかざしてアルコール消毒をどうぞとある。フランスはもう長いことマスクも消毒もスルーなので誰もいないけれど、コロナ禍の間には愛用されたのだろうな。楽しそうなのでもちろん消毒した。すごくユニーク。
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最初の部屋の真ん中に、ポール・リシェの「最初のアーティスト」の彫刻がある。1890年のサロンに出された石膏像でその後ブロンズ像になったらしい。
象の形を彫って満足している古代人?
満足そうな無邪気な表情がほほえましい。見たことのある何かを描いたり彫ったりして再現することは人間が人間であることの第一歩なんだなあ。
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展示室は広々している。
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エジプトの棺も。
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大理石の古代彫刻を修復したもの。牡羊に乗るディオニソス。
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ダイナミックだ。
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16世紀末のカップル像がなぜか気になった。ストーリー性すら感じさせる。
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宗教テーマのコーナー。
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15世紀の木彫で、華奢だから聖女像かと思ったら、トゥールーズの聖ルイ司教だそうだ。
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サン・ヴィダルの乙女と呼ばれる14世紀の聖母子像。衣装の襞もこまやかだが、何やら生意気そうな息子を抱きながら余裕の表情がすごい。視線の先が知りたくなる。
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14世紀のローマ教皇クレメンス六世の墓所の周りを飾っていたレリーフ群の一部。宗教戦争の時破壊されて残ったものらしい。40体ほどの群衆像なのに、重なり具合や表情、ディティールが見事で、ピエール・ボワイエのアトリエ作品と言われている。
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これは14世紀ごろの聖女像だが誰か分からない。冠をかぶっているので殉教聖女だと分かる。悟ったような表情が印象的。
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これは、カテドラルのチャペルで見つかった有名な「リベラルアーツ」のフレスコ画(15世紀)をもとにした19 世紀のコピーだ。リベラルアーツは七科で哲学の女神も入れて八人いたはずだから、これはその半分なのだろう。左から文法、論理学、修辞学、音楽の女神がゆったり座って、男たちに教えを授けている。

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リベラルアーツというのは「自由」を獲得するための「知」であり、ギリシャの女神たちのこういう知的優位(?)をカテドラル内部にまで掲げて、聖母マリアも崇敬しまくっていたわりには、カトリック教会内は神学的にも男性独裁だった。いや、男性独裁を維持するために、「聖母」や「聖女」や「女神」でバランスをとる必要が無意識にあったのかもしれない。
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男尊女卑全開の天地創造の絵もある。アダムが退屈しないようにお人形さんを創ったよね、という感じのイヴ。
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これは男の弟子に囲まれたイエスの最後の晩餐。17世紀のジャン・ソルヴァン作。
みな、誰が裏切り者なのかとがやがやしているのに、金の入った革袋を握りしめたユダだけが、こちらに視線を向けている。この絵を見ている人はみな、イエスを売った共犯なのだ、と言うかのようだ。
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他にもたくさんの作品があって堪能できる。
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「人生の四つの時代」という16世紀の作。四は四元素に四福音史家、四季に通ずる。ここでは左上から、誕生、青春、聖人、そして死となる。虚栄を捨てて神の方を向きなさい、という教え。
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15世紀半ば、バーテレミー・ダイクの『聖家族』。ピュイのクラリス会修道院のためにベルギーのリエージュ出身の画家が描いた。フランドル派絵画。
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家族の様子もフランドル地方。おもしろいのは、聖母はイエスを抱いているけれど、読書に夢中で、天使が支えてくれている本をずっと読んでいる。養父ヨセフの方は、イエスに果物を剝いてやっている。キリスト教のスタートには、知の女神たちのように、「知」を求める女性と、家庭の現実を支える男がいたわけだ。


トランプ原画のいろいろ。
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一番古い15世紀のトランプ。
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ミュージアムの真ん中に当たるホール。
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その窓からは、公園と、さらに向こうのカテドラルの鐘楼にノートルダム・ド・フランスが見えている。
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ミュージアムは広大で、自然科学史の展示や機械技術の発展など、パリの自然史博物館のように充実したコーナーがいろいろあった。
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公園からミュージアムを振り返る。暑い日だが湿気がないので影は涼しい。
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(続く)





by mariastella | 2023-08-23 00:05 | フランス
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竹下節子が考えてることの断片です。サイトはhttp://www.setukotakeshita.com/
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