仕事に必要な本や研究中の本以外はできるだけ読まない(というか読めない)ことにしている。日本語でさえ、推理小説とかコミックとかを少し読むくらいだというのに、最近もらった2冊の英語の本は気に入っている。分厚いけれど中はエッセイやダイジェストなので切れ切れに読めるので気分転換になる。前にも書いたけれど、フランス語のおかげで、英語ももう脳内和訳しなくてもすんなり読めるので楽だ。
くれたのは今年94歳のイギリス人女性。本をくれたのははじめて。
1冊目は、GRANTA no 114/ 2011年冬季号 で、新作本のダイジェストを集めたマガジンだが、264ページもある本だ。その最初が、『Come, Japanese!』だった。

夫となる男の20年前の写真だけをもってアメリカに移民した日本人女性たちが、船の中で互いに紹介し合ったりそれぞれの写真を比べたりする。さまざまな身の上や状況が淡々と書かれているのだけれど、それがかえって重く、つらい。これまで、日系移民の話や中国残留孤児などの話を山崎豊子の『二つの祖国』『大地の子』などで読んで感銘を受けてきたが、アメリカ生まれの日系女性作家が自分のルーツに切り込むのを英語で読むのにはまた別のインパクトがあった。
もう一冊は、初の黒人女性ノーベル賞作家のトニ・モリスンのエッセイや講演集で、私はアート論から読み始めたが、読みやすく、美しく、エレガントで含蓄に富む。疲れた時に少しずつ読める贅沢な本だ。
本の題名はMouth full of bloodで、これも、今はそのままインプットできるけれど、もし日本語に訳すなら微妙だろうなあと思う。「血まみれの口」のように外から血が見えるのでなく、「口の中に血があふれている」状態で、ストレートなインパクトが伝わらない。「文学」の英語やフランス語って、本当に和訳できるのだろうか、と思ってしまう。