例のパリ12区に住む90代半ばのイギリス女流作家が回してくれる雑誌に、女性ライターに特化したものがある。(この雑誌をきっかけに私は彼女の経歴をチェックしたのだった。)
女性作家、そして、作家としてデビューしたい女性に対していろいろなアドヴァイスや各種コンクールなどの情報がいつもぎっしりなのだけれど、最近もらった号には「年配女性」の作家デビューを応援する特集があった。
Ageing with atitude : the rise of the older writer
アンケート調査によると、最もたくさん読書する、小説を読んでいるのは「年配女性」なのだそうだ。で、それだけ文学、小説をインプットしているのだから、当然「書く」能力も育っている、遅くはない、さあチャレンジしよう、という感じの論調なのだ。
でも、なんだか驚いた。そもそも「女性」に限定した作家志望者を対象にした雑誌そのものが、すごくジェンダー限定的だ。こんなのでいいんだろうか。
そして、この号のビジュアル、「高齢女性」のチャレンジを進めるのがあまりにもステレオタイプっぽい。
まず表紙。

ダチョウのイメージ、高齢女性のイメージとマッチしていてユーモラスだけれど、眼鏡でインテリっぽく、笑みは自信を、アクセサリーが女性らしさを、と分かりやすい。
で特集ページを開いてすぐに出てくるのがこれ。
まあ、右にある読書中の黒人女性にはなんとかポリコレっぽい配慮を感じないでもないけれど、左のシニア女性のはじけっぷりって、これで若さとか能力を強調しているのか…。
右上の2人の女性も同じく年齢にとらわれない「はじけたシニア」路線で、左ページは、女性シニアの方が認知症などのリスクが少ないことを強調している。下の本の紹介は、「若くない女性」が主人公の本であり、一読を勧められている。
右の枠外に、英国老作家がしるしをつけているのは、イギリスとアメリカで40歳以上の女性(優先)で、新人作家のデビューにアドバイスしたり応援したりするサービス(?)の連絡先だ。処女作をここに送れば出版への扉が開くかもしれない。スーパーマンのコスプレをした「若くない女性」の写真も見える。
フランス語圏ではこんなことは想像できないけれど、そして、日本のことは疎いけれど、女性、若くない、というキーワードで「作家デビュー」を応援する雑誌やサービスなんてあるのだろうか。
男女差別するなとか、そもそも「性別」をなくせとか、年齢差別はいけないとか、いろいろうるさいのはアングロサクソン主導だと思っていたけれど、そして女性優遇のフェミニズムって矛盾しているのではとも思っていたけれど、この雑誌を見てますます違和感を持ってしまった。