日本とフランスには安定して相愛関係があるのだけれど、フランスって、実は、多くの国から嫌われている。「ユニヴァ―サリズム」を振りかざすからだ。
このフランスのユニヴァーサリズムは、「西洋(実は英米)中心」を押し付けるグローバリズムと違うのだけれど混同されて批判される場合があるけれど似て非なるものだ。
英米グローバリズム、覇権主義から距離を取るためにも、フランスのユニヴァーサリズムは、非キリスト教文化圏にとって大切なツールになる。
ということで、まずフランス嫌いの国についてのシリーズ。
(参考はMarianne No.1379)
フランス嫌いのアメリカ。
アメリカはもとは、独立戦争を応援してくれたフランス好きだった。
フランス嫌いはドゴールの登場から露わになる。
フランスは原爆投下を一斉に非難。
ドイツに占領されていたくせに自由フランスで戦勝国気取り。
ドゴールはナショナリストで、フランスに核軍備させてNATOの軍事部門から撤退した。
第二次世界大戦と冷戦で、ヨーロッパに君臨しようとするアメリカのヘゲモニーに楯突いて邪魔。
2011/9/11の後もアメリカに全面的な追随をせず2003 年のイラク侵攻にフランスは拒否権発動。ラムズフェルドは独仏を「古いヨーロッパ」と非難してフランス製品のボイコットをFox Newsで呼びかけた。フランスワインがどぶに流されるシーンを撮影。フレンチフライポテトはフリーダム・フライに改名。2003/9/18のNew York Timesの社説で「アメリカ人は目を開くべきだ。フランスは厄介な同盟国、嫉妬深いライバルだけではなくもはやアメリカの敵となりつつある」とぶち上げた。
まあこれは一過性ではあったけれど、フランス嫌いの熱はしょっちゅうぶり返す。
よくあるのはフランス流の政教分離への苛立ちだ。
大統領が聖書に手を置いて誓う国、神の加護を口にする国である「神の国」アメリカは、個人主義であり、多様な移民国家だから、それぞれの共同体は「宗教」を絆とする。政府と福音派との関係も深い。
フランス革命の「自由・平等・友愛」のもとに宗教の違いを超えて全ての人を統合することを国是(実際に機能しているかは別)とするフランスのことは気に食わない。
NYタイムズの前パリ支局長はフランスの雑誌のインタビューで「フランスのライシテ(政教分離)は恥部を隠す布みたいなものだ」と言ったそうだ。
Sekko : うーん、個人レベルではフランス好きの、フランスのユニヴァーサリズム好きのアメリカ人はたくさんいる。特にアーティスト仲間でフランスに滞在している人はほぼユニヴァーサリズムの信奉者だ。それは日本も同じで、そのレベルではフランスにいるアメリカ人アーティストがアジア人アーティストを差別することは有り得ない。アメリカの中部の「田舎」の人が人種差別意識やフランス嫌いがあるかと言えば、私の知っている限りでは、知識人やアーティストはフランスやオリエントが好き、庶民は、自分たちの町や州以上のことは興味がない、という感じだった。(20世紀のことなのでSNSの発達した今ではよくわからない。でも、トランプ支持者などを見ていると、やはり、「世界のこと」にはあまり興味がないような…)