アジアの医学展、最初のコーナーは、いわゆる経絡図がたくさんあった。ツボとツボを結ぶ経絡、いわゆる気血の通路。それが直線で結ばれているものを見ると、リシエやブルデルがモデルの顔や体をコンパスで計測して、モデルの体にもそれを描いていたのを思い出した。「コンパスを裏切る」何かをクリエイトしたというリシエのように、作品は完全にデフォルメしているのだから計測なんて意味がないと思っていたけれど、この執拗な経絡図を見ていると、不思議な気がしてくる。科学史的に考えると、リンパの流れや迷走神経だとか、解剖学的ないろいろな経路を先取りしていたようにも見えるけれど、それを超えた「気」や「エネルギー」の経路って、メスメリズムの動物磁気のことも連想する。

直線的なものでなく、本当に血管や神経の図のように見える有機的なものもある。
有機的どころか経絡図がそのまま風景になっているものもあってすごい。頭部と胸部と腰という三界のつながりだ。19世紀末の道教の内的風景図で、「陰」が流れる水となり、この風景を内視しながら瞑想するためのものらしい。ベルリンの民俗博物館所蔵だという。
チベット医学のチャクラとナディの図。シンボリックだ。チャクラはエネルギー叢で、ナディはそれをつなぐ通り道。チベットで文字が使われ出した7世紀頃から医学書?が書かれ出した。中国経由のものとインドのアユルヴェーダ系のものがミックスしている。
血、涙、唾液の他の目に見えない流れ、呼吸(プラーナ)の通り道が滞ると病気になる。脈を診るのが一番大切。チベットでは医学と宗教が密接に結びつき、修行の中に組み込まれていた。

チベットで長い間囚われの身だったダライラマの主治医が中国人士官の病気を治したとかで釈放されてインドに渡り、もう30年以上も前になるけれどフランスに来た時に特別に診察してもらったことがある。避けた方がいい食べ物とか、将来気を付けるべき病気とかのアドバイスと共に、チベットの丸薬を処方してくれる。
私が指摘されたのは「低血圧」だった。
最後に別のチベット医者に診てもらったのは2015年で、健康ブログに詳しく書いている。
いずれももちろん通訳付きだけれど、30年前と違って、年とって図々しくなった分いろいろな質問をしまくっている。
今読み返しても笑えたのでリンクを貼っておく。