イギリス人作家から回ってくる雑誌類の中に、女性に特化した小説家志望者のための隔月誌がある。
この雑誌にはどういうわけかいつも、違和感があって混乱させられるのはなぜだろう。今までもこんな記事を書いている。
最近もらった一冊について、LBの友人たちに見てもらったら、意義は大きいと言われた。たとえば、太った女性が「太った女性」をテーマに書くことについての記事などは、一般の作家相手の雑誌ではあり得ないから、と。こういうもの。
先日、何となくバックナンバーをぱらぱら読んでいたら、短編コンクールとショートショートのコンクールの受賞作が掲載されている一冊があった。(もちろん職業作家としてデビューしていない女性対象だ。)
ショートショートというのは星新一のものでおなじみの言葉だったが、もとは「short short story 」の略の和製英語だそうだ。この雑誌では、短編が「short story」で、ショートショートはフラッシュ・フィクション「flash fiction」とあった。なるほど。選者の言葉。
で、暇がないけれど、ショートショートなら、最優秀作に選ばれたものを気軽に読めると思って読んでみたのだが…。
上に作品が、下に作者の言葉。

もう、大ショックで、一日中トラウマになるほど尾を引いた。
新鮮な舞台、プロットの展開のリズム、そしてショートショートの醍醐味であるオチ、というか意外な結末、と全てが揃っているので、「最優秀」作というのは分かるけれど。
左にスプーンの写真があるように、スプーンがテーマで、それだけで奇天烈だと思ったが、作者がヒントを得たのはスプーンを80本以上体にはりつけるギネス記録の映像だったそうだ。思わずネットで検索。
ここで写真が見られる。この記録の「意味」にもくらくらさせられたが、これを見て、こんなストーリーを組み立てるなんて…。
ある部族で男が制裁されている。上半身裸で縛られて、その体に子供たちがスプーンを一つずつ貼り付けていく。一本でも落ちれば石打刑が待っている。
最後の子供は男の息子で、確実に落ちない場所を見極めて安心して近づくが…。
訳すつもりはないが、不条理さとサスペンスと、どこで何が起こっているのかは分からないが、同時に分かってしまう雰囲気。
エンタメとしては最高にうまくできているのだろうけれど、後味の悪さが衝撃的だった。思えば、中学生くらいだったか、ハヤカワの『SFマガジン』の裏表紙にいつもショートショートが載っていて、その中で、やはり衝撃のラストが今もトラウマとして残っているものがある。一定の長さのある小説ならラストが衝撃的でも、一応の「心の準備」みたいなのができるから全体の一部として消化できるけれど、あっという間にラストシーン連れて行かれてのショックは大きい。
「おお、そうきたか」、とか意外性を楽しめるオチならゲーム感覚でワクワクと読み進めることができるが、ストーリーが一瞬でホラーになるのはもう読みたくない。他の入選作もスルーすることにした。
(おまけにこの後で、読みかけだった小林泰三の『酔歩する男』を読んでしまった。英語の後に日本語を読むことにしたのだ。ますます怖くなった。バカな自分。