フランスでは、EUのエコロジー規制によって経済的にも行政的にも激しい抑圧を受けている農業従事者が大規模な抗議活動を続けている。
人件費だけ見ても、プチトマトを収穫する自給はフランスとスペインでは大差があり、安い価格のスペインのトマトも、一定数までは関税なしで流通するので、半数以上のトマトがスペイン産でフランス産の数分の一の価格で売られている。
農業大国ウクライナがEUに加盟するならもっと深刻なことになる。フランスがアイデンティの基盤であったはずの農業での不利を享受するのは、自動車産業などの有利さとトレードしているからだ。
「EU主権」を唱えるマクロン以来、フランスの「主権」はさらに危機に瀕しているとして、極右が勢力を伸ばしている。
そんな時期に、今までフランスではほとんど無視されてきたヨハネス・アルトジウス(Johannes Althusius)の『政治学』が昨年初めて翻訳されていたことを知った。
彼は「生態系」をモデルにして「有機的な共生」を唱える。政治学における補完性原理が、過度の共同体主義による相対化や、政府側や民衆側の権力絶対化をどう回避できるのかを知りたい。
民主主義における主権の問題を聖と俗の両方を視野に入れながら語るもので、興味深いが、大部の本なので、今でも必読書積んでいる状態の私にはとても読めるものではない。
試しに日本語で検索したら、翻訳のWikipediaには読みにくいけれど載っている。
ここ。
幸いなことに、千葉大学の関谷昇氏の論文があったので目を通せた。
この問題は、ヨーロッパ、とくにフランスとドイツの関係、連合と連邦の関係(EUは連合から連邦化しつつある)について考えのヒントを与えてくれるので、日本の政治学にとっての視点はまた別だと思うが、ありがたい論文だ。
(国際基督教大学リポジトリというところでも少し読めた。)
フランス語の論文をいろいろ読んでからまた考えてみたいが、ここに覚書。