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L'art de croire             竹下節子ブログ

オディールとの話 : ジャンヌ・ダルクとテンプル会

(前の記事の続きです)

アウグスチヌス会経営の高齢者施設の入り口ホールから面会室を見たところ。(私はもちろんオディールの自室で面会した。)

日本のニュース写真などを見ているとまだまだ病院やら高齢者施設やらはマスク着用が普通だったり、時には「避難所」まで、マスク着用を問題にする話もあるので、一応マスクを持って行ったけれど、さすがフランス、100歳の入居者がいようと受付も含めてノーマスクだし、ヴェルサイユだからセキュリティ対策もゼロに近く、勝手にドアを開けて入っても受付の人は無関心。サインもさせられないし住居者への確認もない。「誰それに会いに来ました」と一応言って、あとは自由にエレベーターに乗っていく。
オディールとの話 :  ジャンヌ・ダルクとテンプル会_c0175451_04130073.jpeg
裏側には広々とした庭やチャペルが広がる。
オディールとの話 :  ジャンヌ・ダルクとテンプル会_c0175451_04131049.jpeg
オディールとは、いつもどおり今の世界情勢や政治の話もしたけれど、今回は特に、彼女が研究中だったが視力をほぼ失って本が読めなくなったことで中断した事項について調べてくれと依頼された。

一つは、ジャンヌをシャルル七世(王太子)のもとに送り出したボードリクールとブルターニュとの関係。
ジャンヌは故郷のドンレミからヴォークルールに向かい、守備隊長のボードリクールに、シャルル七世と会う必要がある、と訴えた。
ところが、オディールの従妹がブルターニュのバスアルデンヌ城を買ったのだが、そこには昔の城の廃墟があって、それがヴォークルール城だったらしい。ボードリクールのルーツはブルターニュだったのではないか。ボードリクールの家系は途絶えたようだが、貴族名鑑を見ると、複合名でド・ヴォークルールを加えて名乗っている人がいる。その人に聞けば何かわかるのではないか。ジャンヌダルクはコンピエーヌで捕えられる前に、ブルターニュのヴォークルールを訪れてはいないか、という疑問だ。オディールは少女時代にそこに遊びに行くたびに遺跡の方に興味を持っていろいろ調べていたらしい。

もう一つはジャンヌ・ダルクとテンプル騎士団(神殿騎士団)の関係だ。スコットランドには多くのテンプル会士がいた。ジャンヌがルーアンで捕えられた牢獄の壁には過去に幽閉されていたテンプル会士が残した図や文字の跡があった。
ボードリクールもテンプル会の生き残りだったのではないか。

私はアザンクールの戦いの生き残り騎士のネットワークを考えていたけれど、テンプル会はどうだったのだろう。フランスのテンプル騎士団が壊滅させられたのは確かだけれどいろいろな形で継承されたし、他の国にもあったし、後のフリーメイソンのような形で騎士(軍人)ネットワークとして続いていたかもしれない。中世における地方や国を超えるコミュニケーションの実効性は軽視できない。

はっきり目が見えた6年前までは毎日資料読みをしていたそうだ。でも、国立文書館などの検索機能を駆使していたらもっと進んでいたかもしれない。(彼女は抜群に視力がよかったそうだ。)

こちらも少し調べて分かったことがあれば連絡するから、というと、とても喜んでくれた。
ヴェルサイユの話もしていて、ルイ15世の時代のバロック音楽が私の専門であり、日本の芸能のあり方との関係性について話したらとても共感してくれた。そういえばこれまで彼女と音楽やダンスの話をしたことがなかった。

もう一つ、これは前にも聞いていたのだけれど、彼女の家系の中で、カナダに渡った人たちがいる。その中のヴィヴィアンヌの息子2人はフランスでエリート校ポリテクニックを卒業した後、二人とも日本にわたって、日本人と結婚したというのだ。その後何の音沙汰もないという。家系も学歴もエリートだから、日本でも記録がないとは思えないのだが。

うーん、オディールと血のつながりのある日仏カップルの子供が日本にいるかもしれない。
いつ頃のことかもよく分からない。
しかしブルターニュ系貴族だから、恐ろしく長い名前だから日本では省略しているのだろうか。
検索すると有名な先祖らの名がいろいろ出てくる。

家系図でいえば、カナダ系の1913 年生まれで1997年没で、結婚相手も子供のことも不明になっている人を一人見つけたのだけれど詳細は分からない。Jean de LESELEUC DE KEROUANA という人だ。少し調べよう。

もっとも、これらのことについて、オディールの娘たちも含め、だれも関心を持っていない。

でもオディールの記憶力や好奇心はすごいから、回想録を録音しておくべきだと言ったのだけれど、それも、誰かがサポートして少しずつやらなければいけない。彼女の世話を一番している娘のうちは資産家だから、その気になればだれかを雇って毎日回想録のサポートもできるのに、と思うが、実際は、オディールは「重荷」にもなりつつある。ごくたまに会って彼女からの信頼を受けている私が口を出せるような問題ではない。



by mariastella | 2024-02-19 00:05 | ジャンヌ・ダルク
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